大学について考えるブログ

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大学設置基準の改正(大学職員関係)について ~その1〔SDの義務化〕~

 平成29年4月に改正(施行)された大学設置基準において、大学職員に関わる2つの条文が追加されました。それぞれ、今日と明日、2回にわたって書きたいと思います。

 まず、一つ目は、平成28年3月に公布されたSD(スタッフ・ディベロップメント)に関する内容です。以下、新設された条文です。

 

(第42条の3)
 大学は、当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、その職員に必要な知識及び技能を習得させ、並びにその能力及び資質を向上させるための研修(第25条の3に規定するものを除く。)の機会を設けることその他必要な取組を行うものとする。

 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1369942.htm

 

 ここで、「「職員」には、事務職員のほか、教授等の教員や学長等の大学執行部、技術職員等も含まれる(「大学設置基準等の一部を改正する省令の公布について(通知)」の留意事項)」とされ、広義の大学職員を指しています。
 また、「第25条の3」の条文には、「大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする」とあり、つまり、授業改善のための取組(FD)を指しています。

 

 今回の設置基準の改正により、SDに関する考え方が整理できます。つまり、SDの対象は、教員、事務職員に関わりなく、大学の構成員全体であるということ、また、SDの内容は、(FD以外の)大学の効果的な運営に関すること全般にわたるということが読みとれます。

 

 国立大学の職員も含めた大学職員論が俄かに活気づき始めた頃、SDの議論を先導した活動の一つに、筑波大学大学研究センターが実施した一連の研究会(1999年、2001年、2003年)がありました。以下は、その平成15年(2003年)の記録です。

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山本眞一編『SDが支える強い大学づくり 大学職員は何を学び、それをどう生かすか?』(文葉社、2006年)