博士人材のキャリアについて
今月、科学技術・学術政策研究所から、博士人材のキャリアに関する2つの調査結果(速報版)が公表されました。
「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査-2015年度実績-速報版」
http://www.nistep.go.jp/archives/33979
「博士人材追跡調査」第2次報告書(速報版)
http://www.nistep.go.jp/archives/34133
大学院の博士課程修了(満期退学)者の進路は、大学関係者にとって常に懸案の課題として存在しています。今日では、進路の問題だけではなく、教育の目的、カリキュラム、指導体制などの大学院教育の本質的な部分に関して批判や議論が続いており、政策の上でも対策が打ち出されていますが、依然として大きな進展があるとは言えない状況です。
博士人材のキャリアについては、「大学院重点化」後、政策課題として採り上げられたこともあり、この問題に関する書籍も数多く出版されています。
国立教育政策研究所・日本物理学会キャリア支援センター編『ポストドクター問題 -科学技術人材のキャリア形成と展望』(世界思想社、2009年)
佐藤裕・三浦美樹・青木深/一橋大学学生支援センター編著『人文・社会科学系大学院生のキャリアを切り開く <研究と就職>をつなぐ実践』(大月書店、2014年)
もっとも、「大学院重点化」以前から博士人材の就職難の問題は存在していました。当時は、オーバードクター(OD)問題と言われていました。(日本科学者会議編『オーバードクター問題 -学術体制への警告』(青木書店、1983年))