大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

大学生のメンタルヘルス(自殺防止)について

 10月に入り、多くの大学では秋学期(後期)の授業が始まっていることと思います。それは、別の面では夏休み明けの時期でもあり、学生がメンタル面で不安定になる可能性が高まることも考えられます。
 入学や就職以外にも、学生生活のなかでは様々なライフイベントがあり、それぞれに応じてメンタルヘルスを含めた支援が必要です。特に、メンタルヘルスの問題は、最悪の場合、自殺(自死)に至ることもあり、非常に重いテーマです。
 自殺対策基本法(平成18年)では、学校を含む関係者の連携による自殺対策が重視されており、大学も自殺防止に関わることが求められています。

 毎年公表されている「自殺の状況」(内閣府自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課)によると、昨年(平成28年)の大学生の自殺者は374人(男294人、女80人)となっています。その過去3年の統計は以下のとおりです。

 平成27年 379人(男300人、女79人)
 平成26年 433人(男349人、女84人)
 平成25年 469人(男362人、女107人)

 自殺予防は、プリベンション(prevention 事前対応)、インターベンション(intervention 危機介入)だけでなく、ポストベンション(postvention 事後対応)も重要だとされています。ポストベンションとは、不幸にして自殺が起こってしまったとき、遺された周囲の人に及ぼす心理的影響を少なくするための方策です。

 

 学生のメンタルヘルスに関わる各団体から、自殺防止のガイドラインが公開されています。
 *「学生の自殺防止のためのガイドライン」(日本学生相談学会
 http://www.gakuseisodan.com/wp-content/uploads/public/Guideline-20140425.pdf
 *「大学生の自殺対策ガイドライン2010」(国立大学法人保健管理施設協議会メンタルヘルス委員会自殺問題検討ワーキンググループ)
 http://www.nitech.ac.jp/campus/counsel/files/mentalrescue_guideline.pdf
 *「大学生の自殺対策ガイドライン」(全国大学メンタルヘルス学会)
 http://jacmh.org/index.html

 

 心理療法の専門誌で「大学生のメンタルヘルスと学生相談」の特集が組まれるように、大学や学生の変化とメンタルヘルスの関係への関心が高まったままの状態が続いています。

f:id:mohtsu:20171022014639j:plain
『精神療法(Vol.33,No.5)』(金剛出版、2007年)