大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

教職員のモチベーションについて

 先日、学生のメンタルヘルスについて書きましたが、教職員のメンタルヘルスの問題も無視できないのが今日の大学の実情だと思います。モチベーションの問題と言い換えることもできるかもしれません。

 

 米国の心理学者ハーズバーグ(1923-2000)は、仕事において「満足」に関わる要因(動機づけ要因 Motivator factor)と「不満」に関わる要因(衛生要因 Hygiene factor)は別物であることを示しました(「二要因理論(動機づけ-衛生理論)」)。
 動機づけ要因により、満足感を高め、モチベーションを向上させることができる一方、衛生要因に対処することで不満は解消されるとしても、満足感やモチベーションを高めるとは限らないとされています。
 動機づけ要因として、仕事の達成感、周囲からの承認、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長などが、衛生要因として、組織の方針、管理方法、労働環境、作業条件(給与、労働時間、身分)などが挙げられています。

 この二要因理論に依れば、大学の運営方針が曖昧だと教職員の不満は増大しますが、大学の運営方針が明確になったからといって(不満は解消されたとしても)教職員のモチベーションが高まるわけではありません。モチベーションを高めるためには、達成感や自分が成長したと感じられる仕事の内容そのものにあると言えるでしょう。

 

 以下は、ハーズバーグの論考のほか、モチベーションに関する多くの論文を集めた書籍です。

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DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部編・訳『動機づける力-モチベーションの理論と実践〔新版〕』(ダイヤモンド社、2009年)

 二要因理論に関して深く理解したい人のためには、ハーズバーグの主著『作業動機の心理学』(日本安全衛生協会、1966年(原著1959年))、『仕事と人間性』(東洋経済新報社、1968年(原著1966年))などがあります。