大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

年頭に(1968年について)

 2018年最初の投稿ということで、温故知新、少し歴史の話を書きたいと思います。
 ちょうど50前の1968年は、世界の大学にとって、転換点の一つになった年でした。世界で同時に大学紛争がピークを迎え、その後、急速に鎮静化していきました。大学紛争や大学を取り巻く環境の変化が、1970年代以降の大学改革にどのような影響を及ぼしたのかは国によって事情が異なるようです。


 日本では、1971年(昭和46年)に出された、いわゆる四六答申(中央教育審
議会「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申)」)において、大学に関してだけではなく、学校教育全体について提言がなされました。

 四六答申の提言のうち、実現されなかったものも多くありましたが(高等教育の種別化等)、高等教育計画の策定や私学助成の開始に繋がり、高等教育の量的規模が抑制されることになりました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_chukyo/old_chukyo_index/toushin/1309492.htm 

 米国のPODが1976年に設立されたことは以前の記事で書きましたが、そのことにも象徴されるように、1970年代以降の米国では、ユニバーサル・アクセスの段階に対応した大学改革が 進められることになりました。

 

 大学紛争が世界で同時発生したのはなぜか、国際的視野で分析してありまるのが以下の書籍です。日本の大学紛争は世界的に見てどのように位置づけられるのか考えることができます。

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ノルベルト・フライ『1968年 反乱のグローバリズム』(みすず書房、2013年(原著は2008年))

 

 以下の書籍では、国内外の大学紛争の記事が多くの写真付きで掲載されています。表紙は、橋本治(後の作家、評論家)による東京大学駒場祭のポスターです。

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『新装版 1968年 グラフィティ』(毎日新聞社、2010年)