大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

キャリア教育について

 前回、「大学生のキャリア意識調査」について書きましたが、大学でキャリア教育が義務化されたのは、平成23年(2011年)の大学設置基準の改正によるものでした。すなわち、大学設置基準に以下の条文が加えられました。

 

(第42条の2)
 大学は、当該大学及び学部等の教育上の目的に応じ、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び厚生補導を通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする。

 

 もっとも、キャリア教育の義務化とは、キャリア関連の授業科目の開設を義務付けるものではなく、肝心なことは、それぞれの大学や学部等の目的に応じたキャリア教育を教育課程のなかに適切に位置づけ、展開することにあります。

 

 そもそも、日本の教育行政において、キャリア教育が取り上げられたのは、中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(平成11 年12 月16日)からだとされています。その後、中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成23 年1月31 日)において本格的に論じられました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1301877.htm

 そのなかで、キャリア教育とは「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義されています。

 

 キャリア教育に関連する学会として、日本キャリア教育学会があります。この学会は、昭和53年(1978年)に設立された日本進路指導学会(前身は日本職業指導学会)が、平成17年(2005年)に現名称に変更されたものです。なお、 年次大会が以下のとおり開催されます。

 

・日本キャリア教育学会〔第40回研究大会〕
 12月7日(金)~9日(日)早稲田大学早稲田キャンパス
 https://jssce.jp/c2018/

 

 以下の書籍は、必ずしもキャリア教育をテーマにしたものではありませんが、P&G、デュポン、3M等の世界を代表する化学企業の人材育成、マーケティング、企業経営等の強みや特徴が描かれており、日本国内で展開されているキャリア教育に何らかの示唆を与えてくれるような気がします。(同時に化学産業の構造や歴史の知識を得ることもできます。)

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田島慶三『世界の化学企業 グローバル企業21社の強みを探る』(東京化学同人、2014年)