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「科学技術指標2018」について

 近年、日本の研究力、特にその相対的な低下傾向について指摘されることが多いようです。具体的な指標の議論も活発になされています。

 毎年、科学技術・学術政策研究所から「科学技術指標」が公開されていますが、この8月、2018年版が公開されました。

http://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2018/RM274_00.html

 

 この指標を公表している科学技術・学術政策研究所は、文部科学省直轄の研究所で、昭和63年(1988年)に当時の科学技術庁におかれた科学技術政策研究所が、平成25年(2013年)に改組されたものです。

 

 高等教育にも関係する指標で気になるのが、人口100万人当たりの修士号、博士号取得者数が、主要国のなかで日本のみ減少している点でしょうか。そもそも、日本の修士号、博士号取得者数は主要国に比べて低い水準にあります。

 

 

 近代、特に第二次世界大戦期以降、科学と国や企業との関係は急速に変化しました。その変化のなかで、研究機関としての、また人材養成機関としての大学は、政治や経済の影響を受けながらも飛躍的に発展してきました。以下の2冊の書籍は、米国の状況を対象としていますが、日本に置き換えても多くの示唆があるように思います。

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ボンズ、ウィトロック編『商品としての科学 ー開放的な学者共同体への脅威』(吉岡書店、1991年(原著1985年)(特に、第5章のジンバーグの論考で大学について言及されています。)

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ドン・プライス『政府と科学』(みすず書房、1967年(原著1954年))