大学について考えるブログ

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学位記授与式(卒業式)について

 3月下旬は、多くの大学で学位記授与式(卒業式)が行われていることと思います。

 現在では、9月にも卒業式を開催する大学も珍しくありません。その根拠は、学校教育法施行規則第163条第2項に「大学は、前項に規定する学年の途中においても、学期の区分に従い、学生を入学させ及び卒業させることができる」とあることで、学期末ごとの卒業が可能となっているためです。

 

 大学特有の卒業式の装いと言えば、ガウンでしょう。中世の大学での学位授与は、ギルドへの加入の儀式であり、盛大な祝宴が催されていました。ガウンは、その儀礼の名残の一つです。

 

  日本の大学の歴史のなかで、卒業式が一大行事であったのは、恩賜の銀時計に象徴される帝国大学の時代でしょう。帝国大学の卒業式で、優等生に銀時計の下賜が行われたのは、明治32年(1899年)~大正7年(1918年)のことです。
 恩賜の銀時計については、夏目漱石の『虞美人草』のなかで度々言及があることでも有名です。

 

  大学の誕生、ギルドの構造、学位や大学教授資格、授業の状況など、中世末から近代初頭のヨーロッパの大学史について関心のある人には、以下の書籍をお薦めします。

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横尾壮英『大学の誕生と変貌 -ヨーロッパ大学史断章』(東信堂、1999年)

 

 日本の大学の制度(学部、講座制、成績評価など)は、国内最初の大学である東京大学をモデルにしている部分が少なからずあります。その意味で、東京大学の歴史を知ることは、多くの大学関係者にとって重要だと思います。

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寺﨑昌男『東京大学の歴史 -大学制度の先駆け』(講談社、2007年)