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日本学術会議について

 以前、日本学術会議の提言について書きましたが(11月4日)、そもそも学術会議とはどのような組織なのでしょうか。

 学術会議は、日本の科学者の内外に対する代表機関であり、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」及び「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること」を職務とし、昭和24年(1949年)に設立されました。
 内閣総理大臣の所轄であることや経費は国庫負担であること、政府から独立して上記の職務を行うことなどが日本学術会議法で定められています。
http://www.scj.go.jp/

 

 学術会議設立の背景には、戦前・戦中の学術体制への批判がありました。
 敗戦までの日本の学術行政を代表する機関は、学術研究会議(学研)、学術振興会(学振)、帝国学士院の3団体でした。学術会議発足に伴い、学研は解体され、学振は民間団体として存続し(昭和42年、文部省所管の特殊法人となり、その後、独立行政法人に移行)、帝国学士院は学士院として学術会議に属する栄誉機関となりました(昭和31年、分離)。


 学術会議は、大学教育に関連する事業も展開しています。現在、課題別委員会として、大学教育の分野別質保証委員会が置かれ、「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準」が順次公開されています。
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigakuhosyo/daigakuhosyo.html

 

 以下の書籍に学術会議設立に関する詳細な経緯の記述があります(第10章「日本学術会議の成立」)。『科学の社会史』は、明治期から戦後の高度経済成長期までの科学技術政策史の見取図を提示するもので、廣重徹(1928-75)の代表作の一つです。

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 廣重徹『科学の社会史(上)(下)』(岩波書店、2003年)(中央公論社、1973年)