大学について考えるブログ

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大学と文学について

 昨日、大学紛争についてふれましたが、当時の大学や学生を知るために、文学(小説)から入るという手段もあると思います。政策や制度、統計資料等を通して理解できる大学とは趣が異なりますが、「感覚」として認識できる内容も重要なことではないでしょうか。

 1960年代前後の大学が舞台の小説として、柴田翔『されどわれらが日々-』(1964年)、庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて 』(1969年)、三田誠広『僕って何』(1977年)、島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』(1983年)などを挙げることができるでしょうか。米国のジェームズ・クネン『いちご白書』(1968年)は、映画も有名です。

 

 本文中で紹介した『されど・・・』、『赤頭巾・・・』、『僕って何』は芥川賞を受賞し、『優しい・・・』は芥川賞候補になりました。大学という場所、学生という時期が、特別な意味をもっていた時代だったということでしょうか。

  多くの小説で学生や大学教員が登場しますが、大学職員を主人公にした小説はあまり見かけません。以下は、丸谷才一の初期の小説ですが、私立大学職員の日常とその過去が描かれています。

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丸谷才一『笹まくら』(新潮社、1974年)(河出書房新社、1967年)