BYODについて
唐突にBYODと言われても、直ぐにその意味を理解できる大学関係者は案外少ないかもしれません。
BYODとは「Bring your own device」の頭文字で、その正式な定義があるわけではないと思いますが、一般に大学におけるBYODとは、学生の個人保有の端末(パソコン、タブレット等)を学内ネットワークに接続し、授業やその他の学習、管理運営(履修登録、アンケート、掲示版等)に利用できるようにすること、くらいの意味と理解してよいかと思います。
端末がずらりと並んだパソコン教室は払拭され、学生は教室、図書館、学食、または木陰のベンチなど、学内のあちこちでパソコンを使いこなすキャンパスのイメージになるでしょうか。
BYODは、単に大学が提供していたパソコン環境を学生個人に委ねるというのではなく、その分、無線LANの整備、ソフトウェアの包括ライセンスの取得・提供、セキュリティ対策等、大学が学生に提供するサービスの組直しを意味しています。
学内のどこでもパソコンが使える環境が整備されれば、教育内容・方法が影響を受けることが予想されます。LMS(学習管理システム)の使い勝手も向上するでしょう。
また、今後も要求されるICT環境は高まる一方だと考えられ、教職員の業務の限界を越えてくるでしょう。その対策として、学生を活用する、いわゆるワークスタディやピアサポートの比重が高まるとすれば、教職員の業務の組直しも迫られます。
大規模総合大学で本格的にBYODを導入した大学は、管見する限り九州大学が最初ではないでしょうか。平成25年度入学生からパソコンが必携となっています。それに関する記事を一つ紹介します。
≪追記(2018,4/6)≫
高知大学では、平成9年度入学生からBYODが始まっていたとのことです。
http://www.iic.kochi-u.ac.jp/ipc/support/
国立総合大学で早くからBYODに取り組んだ大学としては、山口大学(H14~)、鳥取大学(H15~)、埼玉大学(H17~)、金沢大学(H18~)などが挙げられます。
九州大学は、現在、キャンパス移転の最終段階を迎えています。先例として、筑波大学(東京教育大学)、広島大学、金沢大学などが挙げられますが、時代情勢から考えて、国立大学の大規模移転はこれが最後ではないでしょうか。