大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

大学設置基準の改正(専門職学科の制度化)について

 今年1月、専門職大学の制度化を受け、既存の大学に「専門職学科」(専門職学科のみで構成される学部は「専門職学部」)を設置するための特例が、大学設置基準のなかに盛り込まれました(平成31年4月施行)。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmon/1401368.htm

 

 この措置は、平成28年(2016年)の中央教育審議会答申「個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について」において、新たな教育機関は「既存の大学・短期大学と並んで、独立した組織として設置される」とともに「既存の大学・短期大学が、一部の学部や学科を転換させる等により、新たな機関を併設できるように」するとの提言を受けたものと考えられます。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1371833.htm

 

 

  専門職大学については、このブログでも度々ふれてきましたが、平成31年度開学に向けて、専門職大学13校(同一法人による5校を含む。)、専門職短大3校が設置申請を行っています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1399756.htm

 

 

 専門職大学の創設に当たっては、議論が錯綜し、新しい高等教育機関を創設する根拠が分かりにくいとの声もあります。今回、大学に専門職学科が”併設”できることになり、専門職大学の特質は、ますます曖昧になったとも思えます。

 「新たな教育機関」をめぐる議論の展開は、以下の論文で勉強させてもらいました。書籍ではありませんが、ウェブ上に公開されているので挙げておきます。

 

小林信一「大学教育の境界 ―新しい高等職業教育機関をめぐって―」(『リファレンス(国立国会図書館)』785号、2016年)
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9998197_po_078502.pdf?contentNo=1&alternativeNo=