大学について考えるブログ

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大学博物館について

 現在、社会に開かれた大学を特徴づける施設として大学博物館が挙げられると思います。多くは一般にも開放されており、観光地になっているところもあるようです。

 大学博物館の数は調査方法によりまちまちですが、少なくとも数百以上はあり、年々増えているようです。

 

 日本の大学博物館の最初期のものとして、明治10年(1877年)に東京大学の付属施設となった小石川植物園、モース(1838-1925、米国の動物学者)が設立に関わった東京大学理学部博物場(明治13年、金石列品室(明治12年)が前身)などがあります。

 日本の大学博物館は、植物園から始まり、資料収集が進むと、陳列室、資料館、さらには博物館へと発展していきました。(安高啓明『歴史のなかのミュージアム』(昭和堂、2014年))

 

 起源をたどると大学博物館の歴史は古いものの、今日の大学博物館の設置は案外新しく、その契機となったのは、学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会報告「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について-学術標本の収集、保存・活用体制の在り方について-」(平成8年1月18日)がまとめられたことにあります。

 この報告をうけ、東京大学総合研究資料館の総合研究博物館への改組(1996)を皮切りに、京都大学(1997)、東北大学(1998)、北海道大学(1999)、九州大学(2000)、名古屋大学(2000)、鹿児島大学(2001)と各国立大学に総合博物館が設置されていきました。

 私立大学で古い歴史をもつ博物館は、刑事博物館(1929)などを前身とする明治大学博物館(2004)、考古学陳列室(1928)などを前身とする國學院大學博物館(2013)などがあります。

 

 平成10年(1998年)には大学博物館等協議会が設立されています。

 ・大学博物館等協議会〔第22回協議会〕/日本博物科学会〔第14回科学会〕
 6月27日(木)、28日(金)秋田大学/手形キャンパス
 http://univ-museum.jp/

 

  もともと陳列室として始まった大学博物館でしたが、現在では、博物館展示論や博物館教育論をも充実させるようになってきています。

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大髙幸、端山聡子『博物館教育論』(日本放送出版協会、2016年)