大学について考えるブログ

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臨時教育審議会について

 前回、臨時教育審議会(臨教審)にふれましたので、その説明をしたいと思います。臨教審は、中曽根康弘首相(当時)によって、首相直属の審議会として昭和59年(1984年)に設置されたもので、主要な審議事項ごとに以下の4つの部会が置かれました。昭和62年までに第1~4次答申が首相に提出されています。

 第一部会:二十一世紀を展望した教育の在り方
 第二部会:社会の教育諸機能の活性化
 第三部会:初等中等教育の改革
 第四部会:高等教育の改革

 臨教審の議論では、教育の「自由化」や「個性化」がテーマとなり、新自由主義的な教育改革を方向付けることになったとされています。もっとも、審議会内部での意見の相違などもあり、自由化の具体的な提案は控えられ、個性重視、生涯学習、国際化・情報化等への対応を中心に答申がまとめられました。

 

 高等教育に関係するところでは、共通一次試験の廃止(大学入試センター試験への組み換え)や大学審議会 (1987-2001)の設置等が、臨教審の答申に基づいて実現されることになりました。

 

 臨教審解散の約30年後、当事者(元文部省職員)による資料、回想等を収集した書籍です。公式な文書からは理解が難しい政策提言に至る経緯や背景を垣間見ることができると思います。

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渡部蓊編著『臨時教育審議会 こぼればなし』(クロスカルチャー出版、2019年)