大学について考えるブログ

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大学審議会について

 前回の記事の最後にふれた大学審議会について書きたいと思います。

 昭和61年(1986年)の臨時教育審議会第二次答申において「我が国の高等教育の在り方を基本的に審議し、大学に必要な助言や援助を提供し、文部大臣に対する勧告権をもつ恒常的な機関としてユニバーシティ・カウンシル(大学審議会-仮称)を創設する」との提言があり、その直後、文部省は大学改革協議会を設け、具体化の検討を行いました。
 これらのことを受け、学校教育法の改正(昭和62年)により、文部省に大学審議会が置かれ、(大学)設置基準や学位に関する事項を定める場合は、大学審議会への諮問が義務付けられることになりました。

 

 大学審議会は、その設置期間中(1987-2001)に多くの答申や報告(26件の答申、2件の報告)を出しています。概要は、以下のウェブページから確認できます。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/attach/1411733.htm

 特に、平成3年(1991年)2月8日には同時に5件の答申が出され、大学設置基準の大綱化、自己点検・評価システムの導入、学位授与機構(現大学改革支援・学位授与機構)の創設などにつながっています。

 今日に繋がる大学改革の嚆矢とも言われる大学設置基準の「大綱化」とは、大学審議会答申「大学教育の改善について」のなかで言及された用語になります。

 

 大学審議会は、平成13年(2001年)の省庁再編に伴う審議会等の整理統合のために廃止され、その機能は中央教育審議会大学分科会に引き継がれることになりました。

 

  本文中で言及した平成3年2月8日の5件の答申は、以下の書籍で確認することができます。大学審議会の答申や関係資料を掲載したシリーズの第1巻です。

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高等教育研究会編『大学の多様な発展を目指してⅠ-大学審議会答申集』(ぎょうせい、1991年)