大学について考えるブログ

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対面授業と面接授業について

 このところ、遠隔(オンライン)授業の対して、対面授業または面接授業という言葉をよく聞くようになりました。同時に、対面授業と面接授業の違い、もしくはどちら正しいのかという疑問をよく耳にします。

 法令用語としては、面接授業を用い、以下のとおり大学通信教育設置基準にその根拠があります。

大学通信教育設置基準

(授業の方法等)
第三条 授業は、印刷教材その他これに準ずる教材を送付若しくは指定し、主としてこれにより学修させる授業(以下「印刷教材等による授業」という。)、主として放送その他これに準ずるものの視聴により学修させる授業(以下「放送授業」という。)、大学設置基準第二十五条第一項の方法による授業(以下「面接授業」という。)若しくは同条第二項の方法による授業(以下「メディアを利用して行う授業」という。)のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。

大学設置基準

(授業の方法)
第二十五条 授業は、講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。
2 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、前項の授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる。

 

 つまり、大学のおける通常の授業(大学設置基準第二十五条第一項の方法による授業)は面接授業と言えます。文部科学省からの通知(例えば「大学等における新型コロナウイルス感染症への対応ガイドラインについて(周知)」(令和2年6月5日))でも「学生が通学する形で行われる対面での授業(以下「面接授業」という。)」という文言があり、面接授業が公的な表現と言えるでしょう。放送大学でも面接授業(スクーリング)を使用しています。

 もっとも、対面授業が間違いということではなく、広く使用されるものです。対面授業と面接授業が別のものであるとか、異なる側面があるとかいうことはないようです。法令上は面接授業を用いるということは確かですが、面接授業という言葉は世間に浸透しているものではなく、一般的には対面授業も多く使われます。

 

 大学通信教育設置基準と大学設置基準を合わせて解釈すると、授業には、①印刷教材等による授業 ②放送授業 ③面接授業 ④メディアを利用して行う授業 の4つがあり、通信制の大学ではその全てのなかからどれか(もしくは併用)、一般の大学では通常は③の面接授業が実施される(④も可)と理解できます。