大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

指定国立大学法人の追加指定について(2)

 先月23日、文部科学省から指定国立大学法人の追加指定について発表がありました。今回、指定を受けた国立大学法人大阪大学です。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410263.htm

 昨年の6月及び今年の3月に、東北、東京、東京工業、名古屋、京都の5大学が指定を受けており、残る「指定候補」は一橋大学だけになりました。

 

高等学校卒業程度認定試験について

 今度の土、日曜日(11月10、11日)、高等学校卒業程度認定試験高認)が実施されます。高認は年2回(8月、11月)実施され、今年の出願者は、合わせて
約2万4千人となっています。因みに、昨年の合格率は43.6%(出願者数24713、受験者数21744、合格者数9479)でした。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/index.htm

 一般には、高認より大学入学資格検定(大検)の方に馴染みがある人が多いかもしれません。高認は、平成17年(2005年)に大検にかわって始まりました。

 

 大学(短大)の入学資格に関しては、学校教育法及び学校教育法施行規則に定められており、以下のウェブページにまとめて記載してあります。 

*大学入学資格について
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm

 

  現在、高校は義務教育に準じた存在とも言えますが、いつ頃からこのような状況がうまれたのでしょうか。

 高校進学率は、昭和32年に51.4%だったのが、昭和49年には90.8%に上昇しています。つまり、第一次ベビーブーム世代が高校を通過した昭和40年頃を挟んで高校を取り巻く状況が一変したことが分かります。「高卒当然社会」が到来して久しいわけですが、その転機に目を向けると、今日の高校無償化の議論にも多くの示唆を与えてくれると思います。

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香川めい、児玉英靖、相澤真一『〈高卒当然社会〉の戦後史』(新曜社、2014年)

国立教育政策研究所について

 前回、科学技術・学術政策研究所について言及しましたが、文部科学省にはもう一つ研究所があります。国立教育政策研究所です。文部科学省組織令では、「国立教育政策研究所は、教育に関する政策に係る基礎的な事項の調査及び研究に関する事務をつかさどる」とされています。教育政策全般に関わる調査、研究を行っている組織ですが、大学関係者と特に関わりが深いのは高等教育研究部の活動だと思います。
http://www.nier.go.jp/

 

 研究所の設置は、昭和24年(1949年)の国立教育研究所に遡ります。平成13年(2001年)、いわゆる「中央省庁の再編」に際した改組により、現名称に改めらました。

 現在の所在地は、千代田区霞が関文部科学省と同じ中央合同庁舎第7号館東館)ですが、平成20年(2008年)までは目黒区下目黒でした。(筆者は、当時の指導教員の関係で、目黒時代の研究所を一度だけ訪問したことがあります。)

 

 国立教育政策研究所は、紀要やプロジェクト研究の報告書として、研究の成果を公開しており、ウェブ上でも見ることができます。https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/index.html

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国立教育政策研究所紀要(第139集)[特集:FDの新しい動向]』(2010年) 

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プロジェクト研究「大学の組織運営改革と教職員の在り方に関する研究」最終報告書(2016年)

「科学技術指標2018」について

 近年、日本の研究力、特にその相対的な低下傾向について指摘されることが多いようです。具体的な指標の議論も活発になされています。

 毎年、科学技術・学術政策研究所から「科学技術指標」が公開されていますが、この8月、2018年版が公開されました。

http://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2018/RM274_00.html

 

 この指標を公表している科学技術・学術政策研究所は、文部科学省直轄の研究所で、昭和63年(1988年)に当時の科学技術庁におかれた科学技術政策研究所が、平成25年(2013年)に改組されたものです。

 

 高等教育にも関係する指標で気になるのが、人口100万人当たりの修士号、博士号取得者数が、主要国のなかで日本のみ減少している点でしょうか。そもそも、日本の修士号、博士号取得者数は主要国に比べて低い水準にあります。

 

 

 近代、特に第二次世界大戦期以降、科学と国や企業との関係は急速に変化しました。その変化のなかで、研究機関としての、また人材養成機関としての大学は、政治や経済の影響を受けながらも飛躍的に発展してきました。以下の2冊の書籍は、米国の状況を対象としていますが、日本に置き換えても多くの示唆があるように思います。

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ボンズ、ウィトロック編『商品としての科学 ー開放的な学者共同体への脅威』(吉岡書店、1991年(原著1985年)(特に、第5章のジンバーグの論考で大学について言及されています。)

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ドン・プライス『政府と科学』(みすず書房、1967年(原著1954年))

大学の敷地内禁煙の実施について(健康増進法の一部改正)

 この7月、健康増進法の一部を改正する法律が公布され、学校、病院、児童福祉施設、行政機関等は来年の夏頃までに敷地内禁煙を実施することが義務付けられました。当然ながら、大学もその対象になっています。(ただし、「屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置することができる」とされています。)

 もっとも、既に敷地内禁煙を実施している大学も多く、同時に、禁煙を考えている人へのサポート体制を整えている大学も珍しくありません。

健康増進法の一部を改正する法律案(概要)
 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-11.pdf

 

 大学は、教育・研究やその支援業務、日々の管理業務に加え、近年では、事業者としての様々な責務を果たす必要性が高まり、それらに対応するための新たな業務は拡大する一方のように思えます。管理業務を行う大学職員(教員を含む。)が把握しておくべき知識は常に更新することが求められているようです。

文部科学省総合教育政策局の新設について

 文部科学省組織令の一部を改正する政令(「総合教育政策局等関係改正令」)が、今月16日に施行され、文部科学省に総合教育政策局が新設されることになりました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1409585.htm

 

 総合教育政策局は、主として生涯学習政策局の再編により誕生するもので、「学校教育と社会教育を通じたより総合的・横断的な教育政策を推進し、教育基本法第3条の生涯学習の理念に基づいた生涯学習政策の更なる強化を実現する」ことを目的としています。

 高等教育に直接関連する内容としては、総合教育政策局に教育人材政策課が設置されたことにより、初等中等教育局と高等教育局とに分かれていた教員養成に関する業務が一元化されることがあげられます。

 

 総合教育政策局の前身は生涯学習政策局ですが、さらに遡ると文部省時代の生涯学習局がその起源となっています。生涯学習局は、昭和63年(1988年)に社会教育局(戦前の社会教育局とは別)を改組して設置されたものです。

 

 教育政策、学校教育・社会教育、生涯学習等の言葉を並べていると、個人的な思いですが、社会のエートスを脱学校化(deschooled)することを提唱したイリッチを読み返したくなります。

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イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』(東京創元社、1977年(原著1971年))

「卓越大学院プログラム」について

  本日、「卓越大学院プログラム」の採択結果が、文部科学省のウェブページに公開されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1409731.htm

 卓越大学院プログラムとは、「社会にイノベーションをもたらすことができる博士人材を育成することを目的」として、今年度から始まった事業で、大学院の博士課程プログラム(前期・後期一貫、一貫制博士課程、医系等の4年制博士課程)がその対象になっています。

 

 大学院の教育改革への支援(誘導型の補助金)の代表的なものとしては、「博士課程教育リーディングプログラム」(平成23年度~)がありますが、さらに遡れば、「組織的な大学院教育改革推進プログラム」(平成19~23年度)や「「魅力ある大学院教育」イニシアティブ」(平成17~19年度)等が思い起こされます。

*国公私立大学を通じた大学教育再生の戦略的推進(国公私立大学を通じた大学教育改革の支援)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/index.htm

 

 教育プログラムへの競争的資金の導入は、「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP、平成15年度開始)」や「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP、平成16年度開始)」に代表されるGP(Good Practice)事業の開始に象徴されると思います。

  かつて、GP事業の合同フォーラムが主としてパシフィコ横浜を会場に開催されていました。筆者も何度か参加しました。以下の冊子は、第1回目の合同フォーラムの記録です。

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 文部科学省『平成18年度 大学教育改革プログラム合同フォーラム記録集』(文教協会、2007年)

東京大学の入試出願要件(英語)について(2021年度実施)

  9月26日付けで、東京大学から「2021年度東京大学一般入試における出願要件の追加について」が公表され、民間の英語認定試験の大学入学共通テストへの活用について動きがありました。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_admission_method_03.html

 

 これによると、2022年度の入学者選抜(2021年度実施)は、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)の「A2」以上を出願要件(合否判定の資料には用いない。)とするものの、① 民間試験の成績  ② 高等学校の調査書等の証明書類 ③ ①、②のどちらも出せない理由書 の3者のいずれかの提出を求めています。

 民間の英語認定試験の受験を必須とはしなかったことは、今後の他大学の判断にも影響を及ぼすかもしれません。