大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

URAの質保証(認定制度)について

 文部科学省において、URA(大学におけるリサーチ・アドミニストレーター)の質保証(認定制度)について検討が行われ、昨年9月、「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に資する認定制度の導入に向けた論点整理」としてまとめられました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ura/detail/1409052.htm

 早ければ(社会的環境が整えば)、平成33年(2021年)に認定制度が導入されるということです。

 

 日本におけるURAの配置は、平成23年(2011年)に始まった文部科学省の公募事業「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」が大きな契機tとなって本格的に始まりました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ura/detail/1315871.htm

 

 さきに紹介した答申(「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」)でもURAへの言及がありますが、URAは、現在のところ、いわゆる「第三の職種」(伝統的な教員・職員のキャリアと異なる職種)の代表的な存在として認知されています。

文部科学関係予算(案)について

 昨年末、政府の平成31年度(2019年度)予算案が閣議決定され、文部科学関係の予算総論が文部科学省のウェブページに公開されました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h31/1408722.htm

 

 国立大学に関しては、運営費交付金等はほぼ横ばい(1兆970億5500万円)、国立大学経営改革促進事業は前年度から5億円の増(45億2千万円)となっています。

 私立大学等経常費補助については、前年度から5億円の増(3159億円)となっています。

国際人権規約(高等教育関係)について

 今月のブログで、大学の無償化や学生納付金にふれたので、大学の費用負担に関する国際的な規定にも言及したいと思います。

 1948年の世界人権宣言において、高等教育の機会均等(第26条)がうたわれていますが、「宣言」を条約化した国際人権規約(1966年)では、以下のように規定されています。


社会権規約13条2

(c)高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

 

 日本が国際人権規約を批准したのは昭和54年(1979年)ですが、上記の条項の「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保していました。この留保を撤回したのは、平成24年(2012年)のことです。つまり、高等教育の無償化の促進は、日本の国際公約となっています。https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html

 

「学生納付金等調査」について

 このブログで、何度か大学の授業料について書いてきましたが、今月、「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査」の結果が、文部科学省から公開されましたので紹介します。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031.htm

 それによると、私立大学入学者に係る初年度学生納付金(授業料、入学料、施設設備費)は平均で1,333,418円となっています。分野別にみると以下のとおりです(詳細はウェブ上の資料を確認してください)。

*私立大学入学者に係る初年度学生納付金(平成29年度)

  文科系学部  1,165,310円
  理科系学部  1,540,896円
  医歯系学部  4,770,957円

 なお、国立大学の初年度学生納付金は、817,800円(授業料535,800円、入学料282,000円)となっています。

 

大学の無償化について

 2020年4月から実施が予定されている高等教育段階の教育費負担軽減方策、いわゆる大学の無償化について、その議論の動向を注視している関係者も多いのではないでしょうか。文部科学省のウェブページに関連情報がまとめて掲載されています。 11月22日には、対応ポイント(案)やFAQが掲載されました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

 

 今回の大学の無償化の議論において、支援措置の対象となる大学の要件に、実務家教員による授業科目の配置や法人の理事への外部人材の登用等が挙げられたことが注目されました。これらの要件の提示は、大学運営への政府の介入として危惧する声もあります。

 国の財政支援方策が機関補助から利用者補助へシフトしたとしても、政府の大学へ規制が弱まるかどうかは別の問題であり、制度の理念や運用方法に依るようです。

 以下の書籍は、2013年に「大学運営と税財政法上の課題」を統一テーマに開催された日本財政法学会のシンポジウムの記録です。

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日本財政法学会編『大学運営と税財政法上の課題』(全国会計職員協会、2014年)

80年代の米国の大学の状況について

 前回、中央教育審議会「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」について書きましたが、日本の大学の将来を考えるとき、米国の大学の歩みを確認してみることに一定の意義があると思います。(もっとも、単純な比較には慎重になるべきですが。)

 

 今日の日本の大学を取り巻く環境は、青年人口の減少、高等教育予算の削減など、冬の時代の到来が予想された1980年代の米国の大学の状況に似ているという指摘があります。

 米国では、80年代の青年人口の減少を前に、多くの大学が影響を受け、淘汰されるという予測がありました。しかし、実際には、この間に大学数、学生数ともに増加しました。米国の各大学が、危機感をもって自己改革を行い、新たな需要を掘り起こした結果でした。

 

 前々回、東京工業大学の授業料改定(値上げ)について書きましたが、収入を増やし、教育の質の向上を図ることでアピールする方法は、80年代の米国の大学がとった手段の一つです。(反対に、経営の健全化のため、大学の予算を大幅に削減することは、現実的には非常に難しいものがあります。)

 80年代の米国では、私立大学を中心に授業料は高等しますが、同時に充実した奨学金を準備する方策がとられるようになりました。

 

  本文中に書いた80年代の米国の大学の状況については、以下の書籍に詳しい記述があります。

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喜多村和之『大学淘汰の時代』(中央公論社、1990年)

「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」について

 11月26日、中央教育審議会において、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」がとりまとめられました。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/11/1411368.htm

 

 6月に「中間まとめ」が公開されたことをこのブログでも触れましたが、中間まとめで検討課題とされた事項(教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の充実や配分の在り方、学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方等)に、答申ではどのように回答したのでしょうか。

 また、答申においても今後の検討課題が示されており、そのなかには国が着手すべき内容にも言及しています。今後、具体的な施策となることも考えられます。

国立大学の授業料について

 東京工業大学が、2019年4月以降の入学者から、授業料を改訂すること(年額535,800円 → 635,400円)を発表しました。これにより、自主財源を増強し、教育内容・環境の向上、新たな給付型奨学金の創設等に充てる旨、説明しています。

https://www.titech.ac.jp/news/2018/042337.html

 

 法人化以降、国立大学の授業料は、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって、いわゆる「標準額」が規定されていますが、各大学の判断で標準額の120%(平成18年度までは110%)を上限(下限は未設定)に、独自の授業料設定が可能となっています。しかし、実際に、学部段階で標準額と異なる授業料設定を行う大学はなく、大学院においても一部に限られていました。

 

 国立大学の授業料は、昭和38~46年は12,000円だったものが、昭和50年代以降急激に高騰し、法人化に至る30年程で約15倍上昇しました。しかし、ここ10年以上、大きな変化は起こっていません。

 昭和50年(1975年)の授業料: 36,000円(入学料 50,000円)
 平成17年(2005年)の授業料:535,800円(入学料28,2000円)

 

  一般に、国立大学の授業料は、私立大学の授業料設定に影響を及ぼすと考えられています。