大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

教職大学院について

 先日、文部科学省から本年度の教職大学院の入学者選抜実施状況が公表されました。それによると、総入学定員2054人(前年度比645人増)に対し、総入学者数は1649人(前年度比279人増)で、入学定員充足率は80.3%(前年度比16.9ポイント減)となっています。

*令和元年度国私立教職大学院入学者選抜実施状況の概要
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1420959.htm

 

 そもそも教職大学院とは、教員養成に特化した専門職大学院で、平成20年(2008年)4月にスタートしました。教職大学院の創設については、平成18年の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」において提言されていました。

 教職大学院は、新人教員の養成と中核的中堅教員(現職教員対象)の養成の2つを目的としています。現在、全国に54の大学院があり(国立47、私立7)、修了者には専門職学位として「教職修士(専門職)」が授与されます。

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kyoushoku/kyoushoku.htm


 また、教職大学院創設の年に、日本教職大学院協会が設立されています。
http://www.kyoshoku.jp/profile.html

文部科学大臣と学校教育法第3条について

 先日の内閣改造により文部科学大臣の交代がありました。平成13年(2001年)1月の省庁再編により誕生した文部科学省ですが、今回で20人目の大臣となります。

 文部科学省の長である文部科学大臣には、大学の設置許可や基準制定に関する権限があるとされています。その根拠は、学校教育法第3条に「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない」とあるためです。従前、「文部科学大臣」の箇所は「監督庁」とされ、附則で、当分の間、文部(科学)大臣とされていましたが、平成11年に現在のたかちに改められました。

 

 大学設置基準の省令化の是非をめぐっての議論はありますが、その権限が文部科学省にあることは学校教育法のうえでは整合的であると判断されています。文部省が大学設置基準を制定・公布したのは、昭和31年(1956年)ですが、それに至る過程は以下の書籍で詳しく追ってあります。田中征男(1944-2013)の代表作とみなされてる本です。

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田中征男『戦後改革と大学基準協会の形成』(大学基準協会、1995年)

指定国立大学法人の追加指定について(3)

 このほど、第3期中期目標期間における指定国立大学法人の追加指定について文部科学省から発表があり、あらたに一橋大学が指定を受けました。これで、指定候補であった7大学(東北、東京、東京工業、一橋、名古屋、京都、大阪)すべてが指定国立大学法人に指定されたことになります。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1420901.htm

 

 

私立大学のガバナンス・コードについて

 5月に学校教育法等の大学に関する一連の法律が改正されはことは、以前、このブログでもふれましたが、それを受け、私立大学連盟と日本私立大学協会からそれぞれガバナンス・コードが公表されましたので紹介します。

 

日本私立大学連盟 私立大学ガバナンス・コード<第1版>
 https://www.shidairen.or.jp/topics_details/id=2527

*日本私立大学協会憲章 私立大学版ガバナンス・コード<第1版>
 https://www.shidaikyo.or.jp/topics/7118.html 

 

 

アイビーリーグについて

 前回、特定の大学群によるスポーツの大会について書きましたが、米国のアイビーリーグもスポーツに由来しています。

 米国北東部の名門大学8校を指してアイビーリーグと称されますが、元々はフットボールの試合で用いられた言葉です。(他のスポーツにも拡大し、正式発足したのは1954年)アイビーリーグの8大学を書き出すと、以下のとおりです。(数字は創設年、括弧内は創設時の名称)

 ブラウン大学 1764(ロードアイランド
 コロンビア大学 1754(キングズ)
 コーネル大学 1865
 ダートマス大学 1769
 ハーバード大学 1636
 プリンストン大学 1746(ニュージャージー
 ペンシルバニア大学 1755(フィラデルフィア
 イェール大学 1701

 コーネル大学を除くと全て植民地大学ですが、 アイビーリーグという呼称は20世紀に名付けられた案外新しいものです。

 

 植民地時代から1980年代までの米国の大学の歴史、大学の運営や仕組み、日本からの留学生の歴史など、米国の大学について小辞典的に知識を得たければ、以下の書籍をお薦めします。『アメリカ大学への旅』(リクルート出版、1988年)の改訂版。

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中山茂『大学とアメリカ社会』(朝日新聞社、1994年)

ユニークな大学スポーツの大会について

 夏季休暇期間を中心に多くの大学スポーツのイベントがありますが、一般の認知度は高くないながら、インカレ(全日本学生(大学)選手権)以外にも特定の大学グループによる大会が各地で開催されています。

 例えば、共通のルーツをもつ旧帝国大学(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)による「全国七大学総合体育大会(七帝戦)」、旧商科大学(一橋、大阪市立、神戸)による「三商大体育大会(三商戦)」、また、専門分野別の大会では、医科大学(学部)の医科学生総合体育大会(東日本・西日本)、歯科大学(学部)の全日本歯科学生総合体育大会などです。上智大学南山大学による総合対抗運動競技大会(上南戦)はともにカトリック系大学ということから交流が始まっています。

 硬式野球のリーグ結成から始まった東京六大学慶應義塾、東京、法政、明治、立教、早稲田)は、今では野球以外の運動部や文化部の連盟や大会へと発展しています。

 

 七帝戦の発祥は、柔道部同士の交流にあります。旧七帝大の柔道部は、講道館ルールとは異なる高専柔道旧制高等学校旧制専門学校で行われた柔道。井上靖の『北の海』でも有名)を受け継いでおり、今では七帝柔道と言われる独自の柔道を行っています。1チーム15人の勝ち抜き戦、寝技を中心とするルールなどの特殊な柔道で、以下の書籍の著者のように、コアなファンがいるのも確かなようです。

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増田俊也『七帝柔道記』(角川書店、2013年)

大学の創立年について

 昨今、多くの大学で創立何周年の記念事業が行われているように感じます。大学のアイデンティティ意識の向上、そして寄付金事業の推進という2つの目的があるのではないでしょうか。

 

 それにしても創立何周年というとき、その起点、つまり創立年(創立記念日)をいつにするかは、各大学の判断で多様な考えがあるようです。大学創設に関する法令(勅令)の公布年(日)もしくは施行年(日)をとる大学が多いとは思いますが、公布をとるか施行をとるかで創立年に1年差が生じる場合もあります。前身となる学校(大学)の開設に遡るケースもあります。札幌農学校の開設日(明治9年8月14日)を開学記念日としている北海道大学などです。

 21世紀に入って統合を行った国立大学のなかには、統合した年を新たな創立年とする大学もあるようです。これは、どちらかの大学がもう一方に吸収されたとみなされないようにする配慮かと思われます。

 

 因みに大学ポートレートでは、設立年は設置認可年とされており、法令の公布年という解釈になるのでしょうか。それも現行法令のもとでとなると、旧帝大をはじめとする、いわゆる旧制大学も、その多くは昭和24年(1949年)を設立年とするのが「正しい」のかもしれません。

 もっとも、大学の創立年を定める公式な見解などなく、共通のルールで大学の創立年を定めることは難しいでしょう。それは、大学に関する制度の変遷、各大学の沿革などの要素が関係し、また、各大学が自身の起源(前身校)をどのように考え建学の理念を捉えるかにも影響するからです。

 

  以下の書籍では、大学の制度の歴史だけではなく、多くの個別の大学のルーツを解説してあります。

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高橋誠『日本の大学の系譜』(ジアース教育新社、2015年)

BI〔Business Intelligence〕ツールについて

 個人的なことですが、先週、パソコンのソフトウェア「Tableau(タブロー)」の初心者向け講習会に参加しました。Tableauとは、直感的な操作でデータのビジュアル化を行えるソフトウェアで、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの一種です。

  BIが大学業界でもとりあげられるようになったのは、間違いなくIR(インスティテューショナル・リサーチ)の影響でしょう。

 

 TableauのようなBIツールを使って、興味のあるデータを瞬時にグラフ化したり、要請されるポイントに絞ってグラフを組み替えたりすると視覚的に情報が伝わり、IR活動にとって有効でしょう。

 もっとも、データとBIツールがあればIRができるということではなく、効果的なIRのためには大学に関する知識やセンスが前提となるのは言うまでもありません。