大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

学校教育法等の一部を改正する法律について

 現在開催中の国会で、5月10日に「大学等における修学の支援に関する法律」、いわゆる大学無償化に関わる法律が成立したのに続き、大学に関するもう一つの法律「学校教育法等の一部を改正する法律」が5月17日に成立しました。

*大学等における修学の支援に関する法律案
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1413436.htm

*学校教育法等の一部を改正する法律案
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1413437.htm

 

 学校教育法とあるように、今回は、学校教育法、国立大学法人法私立学校法等が一度に改正されました。

 今回の改正の主な内容は、認証評価で適合認定を受けられなかった大学に文部科学大臣が資料の提出を求められるようにする、1つの国立大学法人が複数の国立大学を運営できるようにする(具体的には名古屋大学岐阜大学)、大学を設置する学校法人は役員の職務や責任に関する規定の整備が必要になるなどがあります。

 

 

 

 

ファシリティ マネジメントについて

  日本私立大学連盟『大学時報(隔月刊)』の3月号(No.385)の特集は、「『進化するキャンパス』」でした。『大学時報』No.378(2018年1月)では「大学の緑地管理」の小特集が組まれるなど、立地も含め、魅力あるキャンパス作りは、特に私立大学にとって大きなテーマとなっています。

 

 大学のファシリティ(施設と環境)は、教育・研究の基盤を支えるとともに、大学経営の根幹の一つでもあります。

 最近では「キャンパス ファシリティ マネジメント」という言葉もよく聞かれるようになりました。

 

  ファシリティ マネジメントは米国で誕生した経営手法ですが、2000年代以降、日本でも少しずつキャンパス ファシリティ マネジメントに関する書籍が出版されるようになってきました。

f:id:mohtsu:20190515001229j:plain

大学行政管理学会ファシリティマネジメント研究会編『キャンパス再生のすすめ ーこれだけは知っておきたいキャンパスFM』(学校経理研究会、2010年)

 

大学博物館について

 現在、社会に開かれた大学を特徴づける施設として大学博物館が挙げられると思います。多くは一般にも開放されており、観光地になっているところもあるようです。

 大学博物館の数は調査方法によりまちまちですが、少なくとも数百以上はあり、年々増えているようです。

 

 日本の大学博物館の最初期のものとして、明治10年(1877年)に東京大学の付属施設となった小石川植物園、モース(1838-1925、米国の動物学者)が設立に関わった東京大学理学部博物場(明治13年、金石列品室(明治12年)が前身)などがあります。

 日本の大学博物館は、植物園から始まり、資料収集が進むと、陳列室、資料館、さらには博物館へと発展していきました。(安高啓明『歴史のなかのミュージアム』(昭和堂、2014年))

 

 起源をたどると大学博物館の歴史は古いものの、今日の大学博物館の設置は案外新しく、その契機となったのは、学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会報告「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について-学術標本の収集、保存・活用体制の在り方について-」(平成8年1月18日)がまとめられたことにあります。

 この報告をうけ、東京大学総合研究資料館の総合研究博物館への改組(1996)を皮切りに、京都大学(1997)、東北大学(1998)、北海道大学(1999)、九州大学(2000)、名古屋大学(2000)、鹿児島大学(2001)と各国立大学に総合博物館が設置されていきました。

 私立大学で古い歴史をもつ博物館は、刑事博物館(1929)などを前身とする明治大学博物館(2004)、考古学陳列室(1928)などを前身とする國學院大學博物館(2013)などがあります。

 

 平成10年(1998年)には大学博物館等協議会が設立されています。

 ・大学博物館等協議会〔第22回協議会〕/日本博物科学会〔第14回科学会〕
 6月27日(木)、28日(金)秋田大学/手形キャンパス
 http://univ-museum.jp/

 

  もともと陳列室として始まった大学博物館でしたが、現在では、博物館展示論や博物館教育論をも充実させるようになってきています。

f:id:mohtsu:20190503165259j:plain

大髙幸、端山聡子『博物館教育論』(日本放送出版協会、2016年)

専門学校について

 前回、4月に開学した専門職大学専門職短期大学)について書きましたが、どれも専門学校を母体として誕生しています。今後設置される専門職大学もその多くは専門学校を基盤にしたものとなることが予想されています。

 

 そもそも専門学校とは、専修学校の専門課程を一般に専門学校と称しているもので、昭和51年(1976年)の学校教育法改正(専修学校制度の創設)によって登場した教育機関です。

 現在、専門学校の数は約2800校で、その多く(9割以上)は私立の学校です。公立の専門学校の大半は看護系の学校で占められています。専門学校の入学者数は、1990年代前半は約35万人でしたが、現在では25万人前後で推移しています。

 平成7年(1995年)には一定の基準を満たす専門学校の修了生に「専門士」の称号を、平成17年(2005年)には要件を満たした修業年限が4年以上の課程で「高度専門士」の称号を付与することが可能になりました。また、専門学校の課程に応じて、大学への編入、大学院への入学が認められるようになりました。(このような専門学校制度の充実の流れのなかに専門職大学を位置付けることもできます。)

 

専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程

 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1331666.htm

*大学・大学院入学資格について(文部科学省
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/index.htm

4月に開学した専門職大学・専門職短期大学について

 平成31年度開学に向けて専門職大学13校(同一法人による5校を含む。)、専門職短大3校が設置申請を行ったと、以前このブログで書きました。しかしながら、開学時期を1年延ばすなどの理由から申請を取り下げる大学が相次ぎ、結局、この4月に開学した専門職大学専門職短期大学は以下の3校でした。


・国際ファッション専門職大学(東京都、愛知県、大阪府
 https://www.piif.ac.jp/

・高知リハビリテーション専門職大学高知県
 https://krp-u.jp/

ヤマザキ動物看護専門職短期大学(東京都)
 http://pc.yamazaki.ac.jp/

 

『大学職員論叢』について

 3月、大学基準協会から『大学職員論叢』第7号が発行されました。『大学職員論叢』の創刊は、平成25年(2013年)で、その後、毎年1冊発行されています。

https://www.juaa.or.jp/publication/about/article.html

 テーマを大学職員に限定した雑誌は、他に大学行政管理学会の会誌(1997年ー)があります。かつては、『大学職員ジャーナル(大学創造・別冊)』(高等教育研究会大学職員フォーラム編、1996-2017年)とう雑誌もありました。

 

  以下は、本文中に紹介した雑誌です。大学基準協会の定款では、協会の事業の一つとして、「大学の教育研究活動等に関する資料の刊行」を掲げています。

f:id:mohtsu:20190406233552j:plain

『大学職員論叢(第7号)』(大学基準協会、2019年)

 

 高等教育関係の雑誌で、大学職員を特集した号は珍しくありません。一例として、以下の雑誌をあげておきます。

f:id:mohtsu:20190407211831j:plain

 『高等教育研究叢書(105号) 大学職員の開発ー専門職化をめぐってー(大場淳編)』(広島大学高等教育研究開発センター、2009年)

6月の学会(大学教育学会、高等教育学会)について

 昨年も同時期に同じような案内をしましたが、6月上旬、大学教育に関する2つの学会の年次大会が開催されます。

・大学教育学会〔第41回大会〕
 6月1日(土)、2日(日)玉川大学
 http://daigakukyoiku-gakkai.org/site/conference/conferenceinfo/

・日本高等教育学会〔第22回大会〕
 6月8日(土)、9日(日)金沢商工会議所・金沢歌劇座
 http://herd.w3.kanazawa-u.ac.jp/jaher22/

 

 2年前、日本高等教育学会の創設20周年のシンポジウムが開催され、その報告書がウェブ上に公開されています。高等教育研究の歩みを知ることができる貴重な資料でもあります。

http://www.gakkai.ne.jp/jaher/pdf/jaher20th.pdf

 

 

 

学位記授与式(卒業式)について

 3月下旬は、多くの大学で学位記授与式(卒業式)が行われていることと思います。

 現在では、9月にも卒業式を開催する大学も珍しくありません。その根拠は、学校教育法施行規則第163条第2項に「大学は、前項に規定する学年の途中においても、学期の区分に従い、学生を入学させ及び卒業させることができる」とあることで、学期末ごとの卒業が可能となっているためです。

 

 大学特有の卒業式の装いと言えば、ガウンでしょう。中世の大学での学位授与は、ギルドへの加入の儀式であり、盛大な祝宴が催されていました。ガウンは、その儀礼の名残の一つです。

 

  日本の大学の歴史のなかで、卒業式が一大行事であったのは、恩賜の銀時計に象徴される帝国大学の時代でしょう。帝国大学の卒業式で、優等生に銀時計の下賜が行われたのは、明治32年(1899年)~大正7年(1918年)のことです。
 恩賜の銀時計については、夏目漱石の『虞美人草』のなかで度々言及があることでも有名です。

 

  大学の誕生、ギルドの構造、学位や大学教授資格、授業の状況など、中世末から近代初頭のヨーロッパの大学史について関心のある人には、以下の書籍をお薦めします。

f:id:mohtsu:20190324212654j:plain

横尾壮英『大学の誕生と変貌 -ヨーロッパ大学史断章』(東信堂、1999年)

 

 日本の大学の制度(学部、講座制、成績評価など)は、国内最初の大学である東京大学をモデルにしている部分が少なからずあります。その意味で、東京大学の歴史を知ることは、多くの大学関係者にとって重要だと思います。

f:id:mohtsu:20190324213749j:plain

寺﨑昌男『東京大学の歴史 -大学制度の先駆け』(講談社、2007年)