大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

大学基準協会について

 この3月、大学基準協会から『学習成果ハンドブック』が刊行されました。第3期の認証評価(平成30年(2018年)~)では、内部質保証システムの構築に関する取組がより重視され、学習成果の測定や検証結果の活用がポイントになることを踏まえてのものです。
https://www.juaa.or.jp/news/detail_546.html

 

 現在、大学基準協会を認証評価機関としてのみ認知されているひとも多いことと思います。しかし、大学基準協会は、認証評価の開始(平成16年(2004年))よりはるか以前の昭和22年(1947年)、米国のアクレディテーション団体をモデルに設立されています。

 昭和31年(1956年)、民間団体である大学基準協会の「大学基準」に代えて、文部省が大学設置基準を省令化したことは、戦後日本の大学の在り方、文部省と大学の関係にとって、重要な転換点になったとする見方もあります。

 

  本文中で紹介した書籍です。購入方法は、大学基準協会のウェブページに記載してあります。

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大学基準協会『学習成果ハンドブック』(2018年)

IR関連のイベント(8月)について

 8月後半に開催される、IRインスティテューショナル・リサーチに関するイベントを紹介します。(因みに、筆者は、大学評価・IR担当者集会に参加する予定です。)

 

・大学情報・機関調査研究会〔第7回研究集会〕
 8月18日(土)、19日(日)国立情報学研究所学術総合センター) 
 http://mjir.info/

・大学評価・IR担当者集会〔第12回〕(大学評価コンソーシアム)
 8月22日(水)~24日(金)九州工業大学/戸畑キャンパス
 http://iir.ibaraki.ac.jp/jcache/index.php?page=target139

 

 

 文部科学省の先導的大学改革推進委託事業(東京大学)「大学におけるIR(インスティテューショナル・リサーチ)の現状と在り方に関する調査研究」の報告書(平成26年)が公開されています。IRに関する海外の大学の状況、日本の大学の現状(アンケート調査の結果)から、「IRの発展に資する基本的な知見を得ること」ができます。

 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1347631.htm

 

  IRは、大学によってその実践の内容や組織が異なっているのが普通です。以下の書籍では、IRの実践に関する知識をQ&A方式でまとめてあります。

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中井俊樹・鳥居朋子・藤井都百編『大学のIR Q&A』(玉川大学出版部、2013年)

大学行政管理学会について

 以前、大学職員を中心とする団体の一つとして大学マネジメント研究会を紹介しましたが、もう一つの大学職員を代表する団体として、大学行政管理学会を挙げることができます。

 

 大学行政管理学会は、「大学の行政管理について実践的、理論的に研究し、大学行政管理にたずさわる人材の育成をとおして、大学の発展に寄与することを目的(規約第3条)」として、平成9年(1997年)に設立されました。当初は、私立大学の管理職職員を中心に始まりましたが、現在では、門戸を広げ、国内最大級のSD団体と言える規模に発展しています。
 9月には、以下のとおり、総会及び研究集会が開催されます。

 

・大学行政管理学会〔第22回定期総会・研究集会〕
 9月1日(土)、2日(日)桜美林大学/町田キャンパス     http://juam.jp/wp/im/assembly/2018_22/

 

 なお、定期総会後、大学行政管理学会の初代会長 孫福弘(1940-2004)の功績を顕彰するため設けられた「孫福賞」の表彰式が行われます。

 

 以下の書籍は、大学行政管理学会の設立や発展に関わった大学職員9人による”履歴書”です。大学職員の個人の歴史(半生)を描いてありますが、大学運営や職員組織の歴史の側面を見ることもできると思います。

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大学行政管理学会 大学事務組織研究会編『大学事務職員の履歴書』(学校経理研究会、2018年)

大学職員が学べる大学院について

 近年、大学職員のなかには、大学院で大学経営や高等教育を学ぶ人が増えているようです。今、まさに大学院への進学を考えているひとも多いのではないでしょうか。

 大学職員が学べる大学院の代表的なものとして、以下のような大学院の名前が挙がると思います。

桜美林大学大学院 大学アドミニストレーション研究科<通学課程、通信教育課程>
 https://www.obirin.ac.jp/academics/postgraduate/

東京大学大学院 教育学研究科(大学経営・政策コース)
 http://www.p.u-tokyo.ac.jp/gs/c4

名古屋大学大学院 教育発達科学研究科(修士/高度専門職業人養成コース、博士後期/教育マネジメントコース)
 http://www.educa.nagoya-u.ac.jp/graduate/index.html

広島大学大学院 教育学研究科(修士/高等教育学専攻、博士後期/教育学習科学専攻(高等教育学分野))
 https://www.hiroshima-u.ac.jp/ed/graduateschool

 

 その他、関西学院大学大学院経営戦略研究科(専門職大学院)や追手門大学大学院経営・経済研究科等にも大学職員向けのコースがあります。
 また、必ずしも大学職員を対象としていない一般の大学院で、経営学や教育学を学ぶ人もいるようです。

 

 学位取得を目指さないコースとして、筑波大学東北大学のように履修証明プログラムを提供する大学も複数あります。

筑波大学 大学研究センター
 http://www.rcus.tsukuba.ac.jp/program/index.html
東北大学 大学教育支援センター
 http://www.ihe.tohoku.ac.jp/CPD/lad

 

 大学職員が大学院での学びに期待することとして、特定のテーマの研究に加え、高等教育全般の知識の体系的な把握にあるのではないかと思います。

 以下の書籍、雑誌では、高等教育の現状や課題に関して、ある程度包括的な知識や情報を得ることができます。これから大学院進学を考えている大学職員にとっては、関心のあるテーマを見つけるのにも役立つと思います。

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有本章、羽田貴史、山野井敦徳編著『高等教育概論-大学の基礎を学ぶ-』(ミネルヴァ書房、2005年)

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アエラ編集部『大学改革かわかる。』(朝日新聞社、2003年) 

「諸外国の教育統計」について

 以前、学校基本調査について書きましたが、今月、文部科学省から「諸外国の教育統計(平成30年版)」が公表されました。

 日本、米国、イギリス、ドイツ、フランス、中国、韓国の7ヵ国の統計データから、教育状況の比較が可能となっています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/syogaikoku/1404260.htm

 

 「諸外国の教育統計」は平成26年(2014年)から、前身となる「教育指標の国際比較」は平成21年(2009年)から公表されています。

 

 世界の教育統計に関しては、OECD経済協力開発機構:Organisation for Economic Co-operation and Development)から、毎年、報告書が公開されています。
https://www.oecd-ilibrary.org/education/education-at-a-glance-2017_eag-2017-en

 

国による大学の類型化について

 前回、私大連の提言について書きましたが、そのなかで「国が私立大学のあり方に類型的な枠組みを導入することも慎むべきである(p.10)」として、各大学の自主的な「棲み分け」と「連携」の構築が提言されています。

 

 戦後の大学改革で、様々な高等教育機関が原則として4年制大学に一元化されて以降、多様化した大学の類型化とその実現方策をめぐっては、断続的に議論が交わされてきました。この問題は、中央教育審議会でも度々俎上に載せられ、例えば、以下の昭和46年(1971年)の答申では大学の「種別化」として、平成17年(2005年)の答申では「機能別分化」として提示されました。

中央教育審議会「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申)」(昭和46年6月11日)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_chukyo/old_chukyo_index/toushin/1309492.htm

中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像(答申)」(平成17年1月28日) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05013101.htm

 

 以前、米国の大学の分類について書きましたが、 この分類はカーネギー教育振興財団 (CFAT)によるもので、国が関与しているわけではありません。

提言『未来を先導する私立大学の将来像』(私大連)について

 先月25日、私立大学連盟(私大連)から提言『未来を先導する私立大学の将来像』が発表されました。
http://www.shidairen.or.jp/blog/info_c/others_c/2018/04/25/22214

 

 この提言では、私立大学は、それぞれの建学の精神や地域、資源等の特性のもと、様々な施策による大学改革を推進し、その独自性を発揮するよう求め、国・政府に対しては、画一化的な大学の分類を避け、それぞれの大学の独自性を尊重した支援を要請しています。

 

 私立大学の団体については、以前、このブログでも言及しました。

 

学校法人会計基準について

   昨今、私立大学の経営状況に関する報道が相次いでいるように感じます(2017年12月31日の読売新聞の記事など)。
 私立学校振興・共済事業団(私学事業団)は、学校法人会計基準に基づいた「経営判断指標」を公開していますが、平成25年(2013年)の学校法人会計基準の改正に伴い(平成27年度以後の会計年度に適用)、経営判断指標についても更新されています。

*私立学校振興・共済事業団「経営判断指標」
 http://www.shigaku.go.jp/s_center_shihyo.htm

*学校法人会計基準の一部改正について(平成25年4月22日) 
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1333921.htm

 

 そもそも、学校法人会計基準は、昭和45年(1970年)に始まった私立大学等経常費等補助金の配分の基礎にするため、また、私立学校の財政基盤安定のため、昭和46年に文部省の省令として制定されました。現在は、私立学校振興助成法(昭和50年)がその根拠法となっています。 

 

 今回の学校法人会計基準の改正において、従来の財務三表(資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表)のうち、大きな変更があったのが消費収支計算書です。消費収支計算書は、名称も事業活動収支計算書に改められ、収支を経常的な収支と臨時的な収支(特別収支)に分け、さらに経常的な収支を本業の教育活動収支と財務活動を中心とする教育活動外収支に分けたほか、基本金組入前の収支バランスを表示するなどの変更が行われました。

 その他、細かいことですが、いくつかの財務比率の定義が変更されました。例えば、人件費比率は「人件費/帰属収入」から「人件費/経常収入」になりました。経常収入には特別収入が含まれないため、新基準では人件費比率が上昇します。詳細については、私立大学連盟から『新学校法人会計基準の財務比率に関するガイドライン』が刊行されていますので、そちらを参考にしてください。http://www.shidairen.or.jp/blog/info_c/management_finance_c/2014/11/21/16623

 

 学校法人(私立大学)の決算書や基本金を理解するためには、学校法人会計の知識が必要です。大学の経営者や経理担当者はもとより、多くの大学職員にとって会計の知識は業務の基盤となっています。以下の書籍は、改正会計基準にも対応した学校法人会計の入門書です。

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梶間栄一『学校法人会計の仕組みと決算書の見方』(ぎょうせい、2014年)