大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

2017-01-01から1年間の記事一覧

公立大学について

現在、大学に関する機関別認証評価機関は、大学基準協会、大学改革支援・学位授与機構、日本高等教育評価機構の3団体が存在しますが、公立大学協会が新たに認証評価機関を設立し、平成31年度から評価活動をスタートさせるよう準備を進めています。 このよ…

アイヌ遺骨問題と大学について

ときに大学は、その歴史の負の側面と向き合わなければならない場合があります。 文部科学省の調査によると、アイヌ民族の遺骨が全国12大学に2000体近く(個体ごとに特定できた遺骨は1676体)保管されています(文部科学省「大学等におけるアイヌの人々の遺…

QAA(英国・高等教育質保証機構)について

昨日、日本学術会議が作成、公表している「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準」にふれましたが、この取組は、英国の高等教育質保証機構(QAA)をモデルにしたものです。 QAA(Quality Assurance Agency for Higher Education)は、イ…

日本学術会議について

以前、日本学術会議の提言について書きましたが(11月4日)、そもそも学術会議とはどのような組織なのでしょうか。 学術会議は、日本の科学者の内外に対する代表機関であり、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」及び「科学に関する研究…

大学教育関連のフォーラム(3月)について

教育改革やFDに注目が集まり始めた1990年代半ば以降、研究主体の学会とは趣の異なるフォーラムやコンソーシアムが数多く誕生しました。 そのなかから、本年度の3月に開催される大学教育関係のイベントをいくつか紹介します。 ・FDフォーラム〔大学コン…

FDの義務化について

以前、SDの義務化(大学設置基準の改正)について書きましたが、FD(ファカルティ・ディベロップメント)の義務化の経緯を振り返ってみたいと思います。 平成10年(1998年)の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について ― 競争的環境…

大学の監査制度について

近年、企業の不正が明るみに出ると、俄かに監査の役割に注目が集まることがあります。当然ながら、大学にも監査制度は存在し、今般の制度改正により、監査の役割の強化が図られています。 私立大学では、公認会計士等の監査(私立学校振興助成法)、監事の監…

専門職大学設置基準について

学校教育法が改正され、平成31年4月から専門職大学及び専門職短期大学の設置が可能になったことは、以前、このブログで書いたとおりです。 この9月、専門職大学、専門職短期大学、それぞれの設置基準が公表されるなど、様々な法令の整備が進んでいます。…

日本技術者教育認定機構について

日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board for Engineering Education)は、大学や高等専門学校等の高等教育機関の技術者教育プログラムを審査、認定(認定プログラム修了者は、技術士の第一次試験が免除されます。)する団体で、平成11…

「スーパーグローバル大学創成支援事業」について

『教育の世紀 -学び、教える思想』(弘文堂、2004年)でサントリー学芸賞を受賞した教育社会学者の苅谷剛彦氏が、新著『オックスフォードからの警鐘 -グローバル化時代の大学論』(中央公論新社、2017年)のなかで、文部科学省の「スーパーグローバル大学創…

高等教育学会について

高等教育研究に関する主な学会には、大学教育学会以外にも、平成9年(1997年)に設立された日本高等教育学会があります。http://www.gakkai.ne.jp/jaher/ 12月中旬には、以下のとおり、研究交流集会が開催されます。 ・高等教育学会〔2017年度課題研究集…

私立大学の授業料について

10月27日開催の第2回「人生100年時代構想会議」(首相官邸)での議論が新聞等でも大きく採り上げられているように、昨今、俄かに高等教育の無償化や負担軽減の議論が活発になっています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai2/siryou.ht…

大学のキャンパスについて

この9月、日本学術会議から、「我が国の大学等キャンパスデザインとその整備システムの改善にむけて(提言)」(平成29年9月29日)が公表されました。キャンパスデザイン及びキャンパス整備にあたっての組織・システムの課題を指摘し、その改善方策が…

大学教育学会について

大学教育を研究対象とする者、または広く大学教育に関わる者が集う学会に大学教育学会があります。最近では教員だけではなく、職員の会員も増えているようです。 12月初旬には、以下のとおり、課題研究集会が開催されます。 ・大学教育学会〔2017年度課題…

教職員のモチベーションについて

先日、学生のメンタルヘルスについて書きましたが、教職員のメンタルヘルスの問題も無視できないのが今日の大学の実情だと思います。モチベーションの問題と言い換えることもできるかもしれません。 米国の心理学者ハーズバーグ(1923-2000)は、仕事におい…

大学のリスク(危機管理)について

今月、文部科学省のウェブページで、冊子『リスクコミュニケーション案内』が公開されました。http://www.mext.go.jp/a_menu/suishin/detail/1397354.htm 大学に関わるリスクには、自然災害、感染症、重大な事件や事故などが挙げられますが、既に多くの大学…

大学の広報について

現在、大学の動向や高等教育政策に関する情報源となる多くの雑誌がありますが、そのなかにはウェブ上で閲覧できるものがあります。例えば、以下のようなものです。 *『大学時報』(日本私立大学連盟、隔月刊、1952~) http://daigakujihou.shidairen.or.jp…

研究評価について

昨日、研究不正についてふれましたが、研究者の不正行為の背景、もしくは直接的な要因として、研究評価の仕組みや在り方の課題があげられることがあります。 本年4月、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(文部科学大臣決定)の改定があり…

「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」について

本年5月、文部科学省から大学等の研究機関に事務連絡「『研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)』に基づく『体制整備等自己評価チェックリスト』の提出について(通知)」がありました。http://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/ho…

廣中レポートについて

前回、学生のメンタルヘルスについて書きましたが、総合的な学生支援に関して重要な転換点の一つになった「報告」があります。文部省高等教育局から出された『大学における学生生活の充実方策について(報告) -学生の立場に立った大学づくりを目指して-』…

大学生のメンタルヘルス(自殺防止)について

10月に入り、多くの大学では秋学期(後期)の授業が始まっていることと思います。それは、別の面では夏休み明けの時期でもあり、学生がメンタル面で不安定になる可能性が高まることも考えられます。 入学や就職以外にも、学生生活のなかでは様々なライフイ…

私大連と私大協について

「骨太方針(6月9日)」において、東京23区内の大学の新設・増設を抑制する方針が示されましたが、文部科学省は「告示」の改正によって暫定的に対応するようです(その後の立法措置も視野)。9月12日まで、改正案に関するパブリックコメント(意見公…

教育基本法について

昨日、科学技術基本法(平成7年)と科学技術基本計画(平成8年度~)について触れましたが、教育基本法(平成18年改正)と教育振興基本計画(平成20年度~)も同様の関係にあります。 教育基本法(昭和22年(1947年)制定)が、平成18年(2006年)…

科学研究費助成事業(科研費)について

毎年この時期(9月~11月上旬)は、科学研究費助成事業(科研費)の申請のため、慌ただしくされている大学の担当職員や研究者も多いことと思います。 そもそも科研費とは、『基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を…

短期大学の現状について

先日、名門と言われる女子短期大学の学生募集停止のニュースが話題になりましたが、短期大学の現状は厳しいものがあるようです。ピーク時(平成5年度)には53万人(530,294人)を数えた学生数も、昨年(平成28年度)は13万人弱(128,460人)にまで減…

「骨太方針」における入学定員抑制方針について

6月9日、いわゆる「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~)」が閣議決定され、そのなかで、東京23区内の大学の学部の新設・増設を抑制し、原則として定員増を認めない方向性が示され、大学関係者を越えて話題…

教育関係共同利用拠点(FD・SD関係)について

今月、文部科学省から、本年度の「教育関係共同利用拠点」の認定について公表されました。 「大学の職員(教員を含む。)の組織的な研修等の実施機関」としては、新たに、名古屋大学(高等教育研究センター)ほか3大学が認定を受けました。http://www.mext.…

学生支援機構と奨学金政策について

昨日、JASSOに触れましたので、少しJASSOについて説明したいと思います。 日本学生支援機構(JASSO:Japan Student Services Organization)は、日本育英会、日本国際教育協会、内外学生センター等が合併し、平成16年(2004年)に設立された、文部科学省所…

障害のある学生の修学支援について

例年、この時期に日本学生支援機構(JASSO)による「障害のある学生の修学支援に関する実態調査(平成17年から毎年実施)」が行われており、各大学の担当者は回答を提出する準備をされていることと思います(今年の回答期限は10月13日)。 昨年(平成…

博士人材のキャリアについて

今月、科学技術・学術政策研究所から、博士人材のキャリアに関する2つの調査結果(速報版)が公表されました。 「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査-2015年度実績-速報版」http://www.nistep.go.jp/archives/33979 「博士人材追跡調査」第2次報…