科学研究費助成事業(科研費)について
毎年この時期(9月~11月上旬)は、科学研究費助成事業(科研費)の申請のため、慌ただしくされている大学の担当職員や研究者も多いことと思います。
そもそも科研費とは、『基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」』(日本学術振興会のウェブページから)であり、正確には、学術研究助成基金助成金と科学研究費補助金のことを指しており、日本学術振興会と文部科学省により運営されている事業です。
*日本学術振興会「科研費」のウェブページ
http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html
なお、平成30年度(平成29年度申請分)から、「科研費審査システム改革2018」と呼ばれる制度変更がありました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1362786.htm
平成7年(1995年)に制定された科学技術基本法により、平成8年度以降、5年単位の科学技術基本計画が順次実施され、現在は第5期科学技術基本計画(平成28~32年度)の途上にあります。この間、科研費はほぼ一貫して増加し、「計画」開始前年の平成7年度には924億円だった予算規模は、平成29年度には2284億円となっています。
*科学技術基本計画(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index5.html
競争的な研究資金制度は科研費に限られるものではなく、文部科学省に関するものだけでも以下のような多くの事業が実施されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/02_itiran.htm
研究機関としての大学は、国の科学技術政策の影響を否応なく受けることになります(日本に、継続した科学技術政策が存在したかどうかは別にして)。以下の本では、科学技術基本法制定(1995年)に至る戦後の科学技術の政策動向を、日米の比較から解説してあります。
中山茂『科学技術の国際競争力』(朝日新聞社、2006年)
文化人類学の手法を用いて日本の研究者、学会、大学(の問題点)を分析した本も出版されています。
サミュエル・コールマン『検証・なぜ日本の科学者は報われないのか』(文一総合出版、2002年(原著1999年))