大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

第1回大学入学共通テストについて

この1月、初めての大学入学共通テストが実施されました。 大学入試センター試験に代わる新テストの導入は、平成26年(2014年)の中央教育審議会答申『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革に…

次年度(令和3年度)の文部科学関係予算案について

令和3年度(2021年度)の文部科学関係の予算案がウェブページに公開されています。 https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420672_00002.htm それによると、国立大学の運営費交付金や改革のための補助金に1兆838億円、私立大学等経常費補助に2,975億円…

高等教育関連のフォーラム(オンライン)について

現状、所属の異なる人が集まる学会や研究会は、ほぼ全てオンラインでの開催になったと言っていいようです。今やコロナ禍においても、大学関連のイベントは延期や中止ではなく、オンライン開催が選択されるようになりました。 例年、年度末に開催される高等教…

「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」について

先日、「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」から、授業を目的とする著作物利用に関するガイドラインにあたる「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」が公表されました。 https://forum.sartras.or.jp/info/005/ また、それに先立…

メディア授業について(2)

前回の続きで、メディア授業について補足します。 メディア授業は、「平成13年文部科学省告示第51号(大学設置基準第25条第2項の規定に基づく大学が履修させることができる授業等)※平成24年改正」によって要件が定められています。(この告示は、…

メディア授業について

前回、「メディアを利用して行う授業(メディア授業)」について少し触れましたが、メディア授業は新型コロナ感染症の影響でにわかに注目を集めることになりました。 そもそも、その名称は大学通信教育設置基準において、大学設置基準第二十五条第二項の方法…

対面授業と面接授業について

このところ、遠隔(オンライン)授業の対して、対面授業または面接授業という言葉をよく聞くようになりました。同時に、対面授業と面接授業の違い、もしくはどちら正しいのかという疑問をよく耳にします。 法令用語としては、面接授業を用い、以下のとおり大…

『大学設置審査評価法令集』について

大学の事務室には、大学関連の法令集『大学設置審査要覧』が備えてあり、職員は必要に応じて確認できる状態になっていたかと思います。しかし、『大学設置審査要覧』を手掛けていた文教協会が、平成29年(2017年)に解散して以降、その刊行は平成28年度…

プレFD(PFFP)について

旧聞に属する話かもしれませんが、昨年の大学院設置基準の改正で、博士後期課程の学生への、いわゆるプレFDの実施(情報提供)が努力義務となりました。 https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1420657.htm 具体的には、以下の条文が加わりました。 (…

国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議について

前回に続いて国立大学の話題です。 今年に入り、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議が文部科学省に設置され、月に1回のペースで会議が行われています。先日、その中間とりまとめが公開されました。 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa…

指定国立大学法人の追加指定について(4)

昨日、第4期中期目標期間における指定国立大学法人の追加指定について文部科学省から発表があり、あらたに筑波大学と東京医科歯科大学が指定を受けました。これで、第3期中期目標期間に指定された7大学(東北、東京、東京工業、一橋、名古屋、京都、大阪…

「教育と研究の充実に資する大学運営業務の効率化と教職協働の実態調査」について

以前、教職協働に関する大学設置基準の改正について書きましたが、文部科学省から「教育と研究の充実に資する大学運営業務の効率化と教職協働の実態調査(令和2年3月)」の結果が公表されています。 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1418370_0…

次年度の授業目的公衆送信補償金について

4月に授業目的公衆送信補償金制度について書きましたが、このほど、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)から、2021年度の補償金の額が公表されました。申請が許可されれば、学生1人当たりの補償金は720円(年間)となります。8000…

新学習指導要領(「論理国語」と「文学国語」)について

先月、山崎正和大阪大学元教授が亡くなりました。劇作家、評論家として有名ですが、大学の学長や中央教育審議会の会長(平成19年(2007年)から2年間)を務めるなど教育行政に関わった人物でもありました。また、その著作が大学の入試問題にたびたび使用…

学術振興会の特別研究員について

前回、学術振興会(学振)について書きましたが、研究者にとっての学振は、まず科研費を中心とする競争的資金を連想させると思います。一方、 大学院生にとっての学振とは特別研究員のことを指していると言ってもいいと思います。 学振の特別研究員とは、博…

日本学術振興会について

先日、文部科学省から本年度の卓越大学院プログラムの選定結果が発表されました。 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/1420053_00003.htm この卓越大学院プログラムの審査には、日本学術振興会(学振)が関わっています。学振と言えば科学研究費助成…

教育実習・介護等体験の代替措置等について

今月、文部科学省から、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教育実習・介護等体験の代替措置等について通知がありました。 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00288.html 社会的関心事でもあるのか、一般マスコミでも大きく報道されたようで…

「JAPAN e-Portfolio」の運営許可取り消しについて

今月、文部科学省から、教育情報管理機構の「JAPAN e-Portfolio」の運営許可を取り消す旨の通知がありました。「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」の審査等も踏まえ、運営許可要件を満たさないとの判断によるものです。 これ…

令和3年度以降の入試方式について

令和3年度入試では大学入学共通テストの実施が大きな注目を集めていますが、他にも新しくなった制度があります。AO入試と推薦入試が、総合型選抜と学校推薦型選抜に衣替えされたことです。 総合型選抜は受験生の学習意欲や適性を総合的に評価する入試方式…

オンラインによる学会開催について(8~9月)

例年、8月から9月にかけては、多くの学会の年次大会が開催される時期ですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、延期や中止となるものもあるようです。開催されるものは、ほとんどがオンラインでの開催のようです。オンラインによる企画は、移動の負…

「本年度後期や次年度の各授業科目の実施方法に係る留意点について」について

7月27日、文部科学省から「本年度後期や次年度の各授業科目の実施方法に係る留意点について」の通知がありました。https://www.mext.go.jp/content/20200727-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf その主な内容は、基本的な考え方として「感染対策を講じた上での…

大学入試センターについて

令和2年度入試をもって大学入試センター試験は終了し、新たに大学入学共通テストが実施されることは周知のことかと思います。その業務を担当するのは、引き続き大学入試センターということになります。https://www.dnc.ac.jp/ そもそも、大学入試センターは…

「大学入学共通テスト実施要項」について

先日、文部科学省から「大学入学者選抜実施要項」が公表されたのに続き、30日には大学入試センターから「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項」が公表されました。 https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r3.html これまでの…

「大学入学者選抜実施要項」について

今月19日、文部科学省から「令和3年度大学入学者選抜実施要項」が公表されました。https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/mxt_kouhou02-20200619_1.pdf 新型コロナウイルス感染症の影響で、高等学校の多くが長期の休校を余儀なくされたため、そ…

「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」について

6月5日、文部科学省から「新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた大学等の授業の実施状況」の調査結果が公表されました。https://www.mext.go.jp/content/20200605-mxt_kouhou01-000004520_6.pdf それによると、大学・短大・高専約1000校の授業の実施方…

大学審議会について

前回の記事の最後にふれた大学審議会について書きたいと思います。 昭和61年(1986年)の臨時教育審議会第二次答申において「我が国の高等教育の在り方を基本的に審議し、大学に必要な助言や援助を提供し、文部大臣に対する勧告権をもつ恒常的な機関として…

臨時教育審議会について

前回、臨時教育審議会(臨教審)にふれましたので、その説明をしたいと思います。臨教審は、中曽根康弘首相(当時)によって、首相直属の審議会として昭和59年(1984年)に設置されたもので、主要な審議事項ごとに以下の4つの部会が置かれました。昭和6…

秋入学について(臨教審での議論)

新型コロナウイルス感染症の影響で、小・中・高等学校の休校が長引くなか、にわかに9月(秋)入学の議論が起こっているようです。 ご存知(ご記憶)の方も多いと思いますが、秋入学の検討は、その時々で発端となる出来事は異なりますが、歴史的に何度も繰り…

学納金返還請求訴訟について

前回、学生納付金(学納金)について言及し、学納金は基本的に返還されないことになっていると説明しました。もっとも、入学前の段階では幾分事情が異なります。 学納金の返還をめぐって大きな転機となったのが、学納金返還請求訴訟に関する平成18年(2006…

学生納付金と大学の財務について

新型コロナウイルス感染症の影響により、各大学は授業開始時期の延期やオンライン授業への切り替え、図書館等の施設利用の制限等の対応を実施しています。それらの措置に対し、学生や保護者から学生納付金(特に、施設設備費 、教育充実費等の名目のもの)の…