新学習指導要領(「論理国語」と「文学国語」)について
先月、山崎正和大阪大学元教授が亡くなりました。劇作家、評論家として有名ですが、大学の学長や中央教育審議会の会長(平成19年(2007年)から2年間)を務めるなど教育行政に関わった人物でもありました。また、その著作が大学の入試問題にたびたび使用されることでも有名でした。
大学入試(現代文)に評論が頻出する人物として一般的によく名前が挙がるのは、小林秀雄(1902-1983)、加藤周一(1919-2008)、外山滋比古(1923-2020)、中村雄二郎(1925-2017)、河合隼雄(1928-2007)、山崎正和(1934-2020)、養老孟司(1937-)、鷲田清一(1949-)、内田樹(1950-)のような作家でしょうか(あくまで個人的な印象でピックアップしたもので、データの根拠はありません)。
令和4年度から適用される学習指導要領(平成30年改訂)では、高等学校の国語の選択科目が、従来の国語表現、現代文A、現代文B、古典A、古典Bから、論理国語、文学国語、国語表現、古典探求に変更されることが話題になりました。「論理国語」と「文学国語」という分類に対し各界から議論が起こったようです。
*平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A(国語に関すること)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/1422366.htm
*中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語ワーキンググループ配付資料(平成28年2月19日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/068/siryo/1369033.htm
新学習指導要領によって、国語の入試問題の傾向が変われば、上に挙げたような頻出著者の動向も大きく変わってくるかもしれません。
この機会に、山崎正和の教養に関する評論『「教養の危機」を超えてー知の市場化にどう対処するかー(『This is 読売』1999年3月)』を読み返してみました。現在、この文章は以下の書籍におさめられています。
山崎正和『歴史の真実と政治の正義』(中公文庫、2007年)