大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

アイヌ遺骨問題と大学について

 ときに大学は、その歴史の負の側面と向き合わなければならない場合があります。

 文部科学省の調査によると、アイヌ民族の遺骨が全国12大学に2000体近く(個体ごとに特定できた遺骨は1676体)保管されています(文部科学省「大学等におけるアイヌの人々の遺骨の保管状況の再調査結果」平成29年4月)。現在もその大半は北海道大学に保管されています。

 戦前から戦後にかけて、北海道(帝国)大学の研究者を中心に、北海道、樺太(サハリン)、千島などから、研究名目でアイヌの人々の遺骨が墓地から持ち去られ、無断で研究材料として扱われました。その後、遺骨の返還運動が起こるなど、この問題は広く知られるようになりました。現在も、大学に遺骨の返還を求める訴訟が相次いでいます。
 アイヌ遺骨の問題の背景には、アイヌ民族差別、植民学の系譜があったとされています。

*大学が保管するアイヌ遺骨の返還について(文部科学省
 http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/ainu/

 

 文明化の過程で、むしろ野蛮状態へ転化するという啓蒙の自己崩壊を歴史的、哲学的に省察した、フランクフルト学派を代表する2人の共著です。(知の拠点としての大学は、進歩的、合理的、開放的であるようにみえて、実は「野蛮」と隣り合わせのように感じられることがあります。)

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ホルクハイマー、アドルノ啓蒙の弁証法』(岩波書店、1990年(原著は1947年))

 

 札幌農学校開校(1876年)から現在の北海道大学までの歴史をコンパクトにまとめた書籍です。大学の歴史を概観することと並んで、個別の大学の歴史を知ることによって、さらに大学の理解が深まると思います。政策や制度改正は、実際の個々の大学でどのように反映されているのでしょうか。

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北海道大学125年史編集室 『北大の125年』(北海道大学図書刊行会、2003年)

(この書籍では、アイヌ遺骨問題はとりあげられていません。アイヌ遺骨問題を扱ったものとして、植木哲也『植民学の記憶 ―アイヌ差別と学問の責任』 (緑風出版、2015年)などがあります。)