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学校法人会計基準について

   昨今、私立大学の経営状況に関する報道が相次いでいるように感じます(2017年12月31日の読売新聞の記事など)。
 私立学校振興・共済事業団(私学事業団)は、学校法人会計基準に基づいた「経営判断指標」を公開していますが、平成25年(2013年)の学校法人会計基準の改正に伴い(平成27年度以後の会計年度に適用)、経営判断指標についても更新されています。

*私立学校振興・共済事業団「経営判断指標」
 http://www.shigaku.go.jp/s_center_shihyo.htm

*学校法人会計基準の一部改正について(平成25年4月22日) 
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1333921.htm

 

 そもそも、学校法人会計基準は、昭和45年(1970年)に始まった私立大学等経常費等補助金の配分の基礎にするため、また、私立学校の財政基盤安定のため、昭和46年に文部省の省令として制定されました。現在は、私立学校振興助成法(昭和50年)がその根拠法となっています。 

 

 今回の学校法人会計基準の改正において、従来の財務三表(資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表)のうち、大きな変更があったのが消費収支計算書です。消費収支計算書は、名称も事業活動収支計算書に改められ、収支を経常的な収支と臨時的な収支(特別収支)に分け、さらに経常的な収支を本業の教育活動収支と財務活動を中心とする教育活動外収支に分けたほか、基本金組入前の収支バランスを表示するなどの変更が行われました。

 その他、細かいことですが、いくつかの財務比率の定義が変更されました。例えば、人件費比率は「人件費/帰属収入」から「人件費/経常収入」になりました。経常収入には特別収入が含まれないため、新基準では人件費比率が上昇します。詳細については、私立大学連盟から『新学校法人会計基準の財務比率に関するガイドライン』が刊行されていますので、そちらを参考にしてください。http://www.shidairen.or.jp/blog/info_c/management_finance_c/2014/11/21/16623

 

 学校法人(私立大学)の決算書や基本金を理解するためには、学校法人会計の知識が必要です。大学の経営者や経理担当者はもとより、多くの大学職員にとって会計の知識は業務の基盤となっています。以下の書籍は、改正会計基準にも対応した学校法人会計の入門書です。

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梶間栄一『学校法人会計の仕組みと決算書の見方』(ぎょうせい、2014年)