大学について考えるブログ

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定期試験と学修時間について

  新型コロナウイルス感染症の影響で、新学期の開始を遅らせることを想定している大学も多いことと思います。その際に問題となるのが、単位修得に必要な学修時間の確保です。今回の事態では、特例として扱うケースも多いと思いますが、あらためて単位の計算、ここでは一つの観点、定期試験の時間について考えてみたいと思います。

 

 1単位45時間の学修は、授業(15時間以上)と授業外の学修時間で構成されることはよく知られていると思います。それでは、定期試験の時間やそのための準備はどのように位置づけられるのでしょうか。

 中央教育審議会答申『学士課程教育の構築に向けて』(平成20年)のなかで、「講義であれば1単位当たり最低でも15時間の確保が必要とされる。これには定期試験の期間を含めてはならない」とされています。

 定期試験は授業時間(15時間以上)に含めてはならないとされていますが、45時間の学修量に含めることを何ら否定しているものではありません。つまり、定期試験はその目的、内容、効果などを考慮して、単位に関わる学修時間と考えることが可能ではないでしょうか。

1単位:45時間の学修=授業(15時間以上)+授業時間外の学修(予習・復習、課題、定期試験等)

※上記の解釈が間違っているという根拠があれば、ぜひ個人的にご教示ください。

 

 単位の実質化に関する学生の学修時間の調査(アンケート)の際、授業時間外の学修の例示に予習・復習、課題だけではなく、定期試験やそのための準備時間も含めるとトータルの学修時間は増加するのではないでしょうか。(もちろん、授業回ごとの予習や復習が重要であることに変わりありません。)

 

 ここで、大学設置基準で単位の考え方を確認したいと思います。

(単位)

第二十一条  各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。

2  前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。

一  講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。

二 <以下省略>

 また、授業期間に関しては

(一年間の授業期間)
第二十二条  一年間の授業を行う期間は、定期試験等の期間を含め、三十五週にわたることを原則とする。

とあり、定期試験は広義の「授業を行う期間」に含まれるので、この点からも定期試験を学修時間とすることができると思います。注意が必要なのは、答申では、定期試験を授業時間(15時間以上)に含めてはならないとしていますが、授業期間に含めることは否定していないということです。