大学について考えるブログ

大学教育と教学運営に関心をもつ方へ

設置計画履行状況等調査について

 先月、文部科学省から平成29年度の設置計画履行状況等調査の結果が公表されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/1401721.htm

 

 設置計画履行状況等調査とは、大学の新設、学部の設置等の認可や届出の後、当初提出された計画の履行状況に関して行われる調査で、原則として大学や学部を開設した年度に入学した学生が卒業する年度まで実施されます。

 許可、もしくは届出が必要な事項は、以下にまとめて記載してあります。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/04/12/1368922_03.pdf

 

 大学の設置等の認可や届出についての提出書類やその作成の手引きは文部科学省のウェブページに公開されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/shinsei.htm

 筆者の手元にある以下の版は、自身が大学職員になったばかりの頃、入手したものです。

f:id:mohtsu:20180324202230j:plain

『大学の設置等に係る提出書類の作成の手引き(平成19年度改訂版)』(文教協会、2007年)

指定国立大学法人の追加指定について

 今月20日、文部科学省から指定国立大学法人の追加指定について発表がありました。今回、指定を受けた国立大学法人は、東京工業大学及び名古屋大学となっています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/1401484.htm

 

 昨年6月の第1回目の指定については、以前、このブログで書いたとおりです。

 

自校(史)教育について

 以前(2/25)、大学史研究会について書きましたが、最近では多くの大学が、自大学の歴史への関心を高めているようです。その大学の設立の経緯や発展の歴史、社会的役割などをテーマに正課の授業科目を開講する、いわゆる自校(史)教育を実施する大学が増えています。大学もアイデンティディ意識を高める必要性を自覚するようになったと言えそうです。

 管見する限り、日本の大学における自校(史)教育の端緒は、1990年代後半頃から、私立大学では、立教大学明治大学関西学院大学等、国立大学では、九州大学広島大学名古屋大学等による先行的な取組だったように記憶しています。

 

 個別大学の歴史の編纂という枠を越えて、他大学との関連や保存資料の社会的利用に関して、情報交換や研究会を行う全国大学史資料協議会が、平成8年(1996年)に設立されています。

*全国大学史資料協議会
 http://www.universityarchives.jp/

 

 自校(史)教育と言っても、何の目的で誰がどのような立場で教えるかにより、内容やスタイル(オムニバス形式ほか)は多様です。自校(史)教育を始めるにあたっては、まずは他大学のテキストが参考になるでしょう。以下の書籍は、実際に各大学で使用されているテキストです。

f:id:mohtsu:20180311123946j:plain

新谷恭明、折田悦郎編『大学とはなにか 九州大学に学ぶ人々へ』(海鳥社、2002年)

f:id:mohtsu:20180302222518j:plain

高杉栄一、阿部武司、菅真城編著『大阪大学の歴史』(大阪大学出版会、2009年)

就職活動の解禁について

 3月1日、来春卒業を予定している大学生の就職活動(就活)が解禁されました。選考は6月1日からとなっています。もっとも、このスケジュールは、経団連日本経済団体連合会)の指針であって、形骸化しているとの指摘もあります。 

・採用選考に関する指針(経団連
 http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/030.html


 就職活動によって学生が学業に専念できない期間が長引くことに、大学側からは常に懸念の声があります。
 一方で、卒業時に多くの学生の進路が決まっていることは日本の大学の特徴(最大の長所の一つと言えるかもしれません。)であり、就活を重視せざるを得ない事情もあります。

 

 平成8年(1996年)まで存続した「就職協定」を知っているのは、もはや40代以上の人でしょうか。採用スケジュールの頻繁な変更は今に始まったことではありません。

 卒業前の就職活動が定着したのは案外古く、高等教育が拡大し、大戦景気にわいた大正期だと言われています。それでは、リクルートスーツが登場したのはいつ頃でしょうか。以下の書籍では、昨今の就活事情のルポを中心に、就職活動の社会史もとりあげています。

f:id:mohtsu:20180303000805j:plain

石渡嶺司『就活のコノヤロー』(光文社、2013年)

大学マネジメント研究会について

 大学職員を中心とする団体の一つに大学マネジメント研究会があります。大学マネジメント研究会は、国立大学法人化後の平成17年(2005年)、国立大学マネジメント研究会として発足し、平成23年、現名称に変更されています。

 今月末、以下のとおり、大学マネジメント研究会の総会及び記念講演会が開催されます。

・大学マネジメント研究会〔2017年度総会・記念講演会〕
 2018年3月31日(土)プラザエフ(東京都千代田区
 https://www.anum.biz/cont5/31.html

 

 大学マネジメント研究会は、月刊の会誌『大学マネジメント(当初は『国立大学マネジメント』)』を発行しています。以下は、その創刊号です。

f:id:mohtsu:20180302202444j:plain

『国立大学マネジメント(第1号)』(国立大学マネジメント研究会、2005年)

教育ITソリューションEXPOについて

 今日では、高等教育機関に限らず、教育機関はICTに関して何らかの投資を行っていると思います。その対象は、eラーニング、ICT機器、業務支援システムなど、実に多岐にわたっています。さらには、社会の要請に応えるため、アクティブ・ラーニングや学習成果の可視化、安否確認システム等の危機管理など、教育分野でのICTの活用範囲はますます広がっています。

 教育ITソリューションEXPO(EDIX:Educational IT Solutions Expo)は、教育用ICT製品やサービスに関する日本最大級の展示会となっており、第9回EDIXが以下のとおり開催されます。

 

・教育ITソリューションEXPO(EDIX)
 2018年5月16 日(水)~18 日(金)東京ビックサイト
 http://www.edix-expo.jp/

 

 ICTの教育への活用事例として、eラーニング、LMS(学習管理システム)、eポートフォリオなどがよく挙げられますが、教育という性格上、システムを導入すれば成功するというわけではありません。

 以下の書籍では、eポートフォリオに関する失敗事例に学び、実践のポイントをまとめてあります。

f:id:mohtsu:20180225003358j:plain

松葉龍一、小村道昭編著『学生力を高めるeポートフォリオ 成功への再始動』(東京電機大学出版局、2018年)

大学史研究会について

 今月、『大学史研究』第26号が発行されました。『大学史研究』は、大学史研究会の紀要として、昭和54年(1979年)から刊行されています。

 大学史研究会は、昭和43年(1968年)に第1回セミナー(研究発表会)が開催され、今年が50年目の年に当たります。さらに遡ると、中山茂、横尾壮英、皆川卓三、寺﨑昌男の4氏の共同研究プロジェクトにその起源を辿ることができます。

 *大学史研究会
 http://www.daigakushi.jp/index.html

 

 『大学史研究』は、23号(2008年)以降、東信堂から市販されています。26号では、大学史にも造詣の深い科学史家 中山茂(1928-2014)を追悼する特集が掲載されています。

f:id:mohtsu:20180225220335j:plain

『大学史研究(第26号)』(『大学史研究』編集委員会、2017年)

統計検定について

 大学職員に求められる知識や能力について議論されることがありますが、なかなか明確な結論を得ることは難しいようです。そもそも、多岐にわたる大学職員の業務を定義することさえ容易なことではありません。

 しかし、視点を変えると、大学職員の業務をある程度限定すれば、必要とされる技能を考えやすくなるかもしれません。

 

 このところ注目が集まっているIR(インスティテューショナル・リサーチ)に関して、技術的な能力を確認するために、例えば「統計検定」を利用することも考えられます。出題範囲をみると、レベル(級)ごとに学習すべき内容やどのような能力が必要かが理解できます。

http://www.toukei-kentei.jp/about/

 大学職員の職能開発の関心は高まる一方ですが、その職能に関する具体的内容を提示する論考は少ないように思います。以下の書籍では、大学職員に求められるリテラシーに関して、著者の考えが述べられています。

f:id:mohtsu:20180211151033j:plain
寺﨑昌男・立教学院職員研究会編著『21世紀の大学 職員の希望とリテラシー』(東信堂、2016年)