大学設置基準の改正(工学系学部の教育課程に関する特例)について
昨年(平成30年)6月29日に公布・施行された、大学設置基準の一部を改正する省令において、「工学に関する学部の教育課程に関する特例(新11章)」が追加されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1407810.htm
以下のウェブページに、改正の概要が掲載されています。
今回の措置で注目したいのが、「複数の工学の専攻分野を横断した教育課程の実施に向けた工学部等における柔軟な教育体制の構築」(大学設置基準及び大学院設置基準の一部を改正する省令等の施行について(通知)」)のために、学科ではなく、課程を設けた場合、専任教員数の基準や学生の収容定員を柔軟に対応できるようにしたことです。
今回の改正は工学系の特例ですが、今後、他の領域(学部)でも、教育の中心が組織(学部・学科)から課程(学位プログラム)へ移行する流れが進むかもしれません。
平成10年(1998年)の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について ―競争的環境の中で個性が輝く大学―」において、「学部(学士課程)」と括弧付きながら初めて学士課程という用語が使われました。(もともと学士課程という用語は、一般教育学会(現大学教育学会)の造語だそうです。)
平成17年(2005年)の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」では、「大学は学部・学科や研究科といった組織に着目した整理がなされている。今後は、教育の充実の観点から、学部・大学院を通じて、学士・修士・博士・専門職学位といった学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要がある」とし、学位プログラムを中心とした大学制度への転換が提唱されました。
将来像答申の前後、教養部解体から約10年後、学士課程教育の在り方が盛んに議論されていたように思います。以下の書籍は、その当時に出版されたものですが、現在も同様の課題が残されているように感じます。
『学士学位プログラム(『高等教育研究』第8集)』(日本高等教育学会編(玉川大学出版部)、2005年)
絹川正吉、舘昭編著『学士課程教育の改革』(東信堂、2004年)