高校紛争について
先日、大学紛争について書きましたが、同時代の高校紛争については語り継がれる機会が少ないように思います。
高度成長期の大学進学率の上昇の背景には、高校進学率の上昇を見逃すことはできません。中卒労働者が「金の卵」と言われた時期から、高校が義務教育に準じる学校になるまで、そう長い期間は必要ありませんでした。
高校紛争は、大学紛争の影響があったことは間違いありませんが、高校教育の拡大に伴う様々な矛盾の噴出という側面もあったのではないでしょうか。今からは想像も難しいと思いますが、教室などの建物の占拠、定期試験や授業の放棄(ボイコット)、集会やデモ、卒業式などへの妨害や乱入、ハンスト等、全国各地の高校で紛争が頻発しまし、社会問題となりました。
昭和44年(1969年)に文部省から出された通達「高等学校における政治的教養と政治的活動について」によって、生徒の政治活動は禁止されることになりました。因みに、この通達は選挙権年齢の引下げに伴う新たな通知が出される平成27年(2015年)まで有効でした。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/118/shiryo/attach/1363604.htm
筆者は、高校生の頃に出会った村上龍『69 sixty nine』(1987年、集英社)で高校紛争を知りました。その後、四方田犬彦『ハイスクール1968』(2004年、新潮社)も興味深く読みました。
高校紛争についてまとめた書籍はあまり多くありませんが、例えば以下のようなものを挙げることができます。
柿沼昌芳、永野恒雄、田久保清志『高校紛争 戦後教育の検証』(批評社、1997年)